東電原発事故で揺らぐ、電力債の「安定神話」

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 が、その「安全神話」に黄信号が灯っている。最大のリスクは東電経営の行方。政府の「原子力損害賠償支援機構法案」では、東電の債務超過を回避するとしているが、政治の混迷で成立は流動的だ。そもそも電力債は「暗黙の政府サポートを織り込んでいたからこそ安定的と見なされてきた」(寺澤シニアアナリスト)。支援の方法次第では、その前提が崩れかねない。

「原発のようなリスクを抱える電力会社が一般担保付きのままでいいのか」(政府筋)との見方もある。東電が破綻した場合、現状では弁済順位の高い社債権者が損害賠償対象者より優遇されるため、「賠償対象者に対しては社債が劣後するような法案を設けるべき」との案も浮上。一方で、そうした見直しを行えば、「世界に不安定なメッセージを送りかねず、国債市場への影響も大きい」(日本格付研究所の殿村成信チーフ・アナリスト)。

政府支援が見込める東電はともかく、他の電力会社は運転資金確保に向けて早晩、起債が必要になる。ただ投資家が電力債への不安を抱えるかぎり、今までのような低コストでの資金調達は困難だろう。定期点検中の原発再稼働も危ぶまれる中、財務戦略の大幅な修正は避けられない。

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(倉沢美左 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年7月9日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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