「はしか感染」が欧州で40倍超に増えた深刻理由 予防接種率の低下、他の感染症増加の前触れに
アメリカでは今年に入って、フィラデルフィア州で9人のはしか感染者が確認され、ワシントン州では3人の感染者が確認されたほか、調査中の感染者が3人出ている。ほかのいくつかの州でも、それぞれ1人のはしか感染者が確認され、接触者の追跡が行われている。
WHOで麻疹・風疹上級顧問を務めるナターシャ・クロウクロフト博士によると、WHOが「大規模もしくは混乱をもたらす感染流行」と呼ぶ状態になっている国は1月時点で49カ国に上る。
イギリスでは2023年に250人の感染者が確認され、そのほとんどが10歳未満の子どもだった。ヨーロッパで昨年確認された感染者のうち5人に1人は20歳以上だったと、WHOは伝えている。
大した感染者数には見えないかもしれないが、公衆衛生当局がワクチン接種運動を強化すべき信号を出していると、オマー氏は話す。
「火事が始まったら、すぐさま全力で消火活動にあたるべきだ。火が燃え広がるのを待っている場合ではない」
95%の「防衛ライン」を割り込んだワクチン接種率
はしかの流行を制御するには、全人口の少なくとも95%がワクチン接種を受けている必要がある。ヨーロッパでは、1回目のワクチン接種を受けた人の割合が2019年には96%だったのに対し、2022年には93%に低下した。
2020年から2022年の間に、180万人以上の幼児がはしかワクチンの接種を受けそびれている。
ヨーロッパでのはしか感染の増加について、クロウクロフト氏はこう言った。「私たちにはこうなることが実際にわかっていたから、目新しいことは何もない」。
「予想が当たってもまったく喜べない場合があるが、今起こっていることがまさにそれにあたる」
(執筆:Apoorva Mandavilli記者)
(C)2023 The New York Times
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