「社民・福島党首訪中」に見る中国の隠された狙い 「中国は愚か」と侮った時点で術中にはまっている
また、小さい政党とはいえ、日本の党首の行動や発言について、日中以外の第3国からどう見えるだろうか。 “日本の政党のトップ”という肩書は小さくない。
まず、国内の報道では、どうも今回の訪中における重要キーワードが「処理水」になってしまっている。中国の立場からすれば、「処理水放出反対」といったトピックは重要ではない。むしろ、中国の目論見はほぼ失敗に終わっており、振り上げた拳を下ろす先を探している状態だ。
現に、今回の訪中について中国メディアの人民網や新華網では、福島原発処理水に関する発言を取り上げた報道は見られず、日中平和友好や“4つの政治文書”の確認といった内容が中心であった。日本のメディアとしても、会談における処理水発言を大きく取り上げてしまえば、ある意味中国の宣伝工作に加担していることになるが、中国としてはむしろ“触れてほしくない”状況だろう。
では、中国の狙いとして、海外向けの宣伝といった視点で考えるとどうだろうか。日中以外の主要メディアにおける今回の訪中の扱いは小さく、報じているメディアも多くない。対外向けの宣伝として大きな効果はないように見える。
しかし、日本の政党のトップが中国と思惑を一致させているという絵面はそれなりに利用できるため、今後使うかはともかく、中国が宣伝材料の1つを手に入れたとは言えよう。
処理水は重要トピックではない
そして、中国の隠れた狙いは、「日本国内向けの発信」にあったのではないかと推察する。
福島党首の政治思想は中国と共鳴する部分が見られ、「社民党が保有するコミュニティ=中国の思惑に一定程度共鳴するコミュニティ」に対する発信にその狙いが隠されていたと見る。
一つ目の発信は、「我々(中国)はあなた方を大切に考えている」というメッセージを発信し、当該コミュニティとのパイプの維持を狙う。
もう一つは、コミュニティに対する「日本国憲法改正反対」への強い意思の確認・発信であり、これが真の狙いであったと考える。筆者は、今回の訪中における重要なキーワードは「処理水」ではなく、「憲法改正反対」であったと推察する。
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