グーグル「謎多き日本法人」で起きていること トップブランド構築の裏にある葛藤とは?
風向きが変わったのは、辻野氏が社長を退く前後から。辻野氏以降、日本法人の社長職は廃止された。
当時の事情を知る関係者によれば、「(2011年1月に米国本社のシニア・バイスプレジデント兼チーフ・ビジネス・オフィサーとなった)ニケシュ・アローラ氏(47)の影響が大きかった」という。
ニケシュ氏は今年6月19日にソフトバンクの代表取締役副社長に就任予定で、同社の孫正義社長から後継者候補として指名されている人物だ。「ニケシュ氏はグーグルの海外戦略を従来の地方分権型から、中央集権型に移行させた。それにより、日本法人の位置づけも大きく変わった」(同関係者)。急成長する過程で、グーグルはグローバル戦略を切り替えたのだ。
その後、グーグル日本法人のトップを務めたのが、ヤフー・ジャパンで第一号社員として入社した経歴を持つ有馬誠氏(58)。2013年末に退任するまで、2010年4月から3年8カ月の間、日本法人の代表取締役を務めた。有馬氏退任後は冒頭のカリム氏が7日間つなぎ役となり、ロバートソン氏に代表取締役の座が移った。カリム氏の在任期間があまりにも短かったことは、有馬氏の辞任が唐突だったためのようだ(有馬氏は退職時のメールで周囲に「一身上の都合)と説明)。
米国本社も懸念?
有馬氏までは日本法人トップのメディア露出はあった。一方、現在はロバートソン氏の存在を隠していることなどを考慮すると、今のグーグル日本法人は、あえて”顔”を持たない経営になったといえる。
むろん、この"顔"を持たない経営は、日本法人側の方針ではなく、米本社が主導してきたに違いない。
しかし、そんな日本法人の体制について、米国本社が疑問を挟む場面もあるようだ。
米国本社は3~4年前から、主要10カ国で政府機関やNPO、メディア、金融機関などにグーグルの各現地法人がどんな印象を持たれているかについて、毎年1~2回調査している。調査の規模は1回につき、1カ国で100人以上に及ぶ。
この調査に詳しい人物によると、「米国本社は日本法人のレピュテーション(評判)が長らく対象国の中で低いことを問題視している」という。米国本社に気遣いながらも、評判を高めることはできるか。就職人気企業であるグーグル日本法人は、葛藤を抱えているのもまた事実なのである。
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