不正に揺れるダイハツ、生産再開はいつになるのか 国交省が是正命令、トヨタ主導で構造改革

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大阪府池田市ダイハツ町1番1号にあるダイハツ本社。主力工場のある大分県や滋賀県など地域経済への影響も大きい(記者撮影)

認証試験における不正問題に揺れるダイハツ工業。国土交通省の立ち入り検査で新たに14件の不正が判明した。

昨年4月に認証試験における不正が発覚。12月20日には第三者委員会の調査結果が公表され、国内外、生産終了分を含めて64車種174件の不正が明らかになった。これを受けて、ダイハツは国内生産を停止中だ。

14件の不正が公表された1月16日、国交省は「国の型式指定の信頼性を根本から損ない、我が国の製造業への信頼をも傷付けるものであり、極めて遺憾である」として、ダイハツに対し抜本的に組織の見直しなどを求める異例の是正命令を出した。

ダイハツは1カ月以内に再発防止策や組織体制の見直しなどを報告することが求められる。奥平総一郎社長は「ご心配、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げたい。われわれの不正で失われた信頼は大きい。二度と同じ過ちを起こさない会社になるために全力を尽くしたい」と陳謝した。

型式指定取り消しが3車種でとどまるかが焦点

さらに、国交省は悪質な不正行為があったとして、ダイハツ「グランマックス」、OEM供給するトヨタ自動車「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」のトラックタイプについて、生産認証である型式指定を取り消す。小型車での型式指定の取り消しは業界初で、ダイハツは3車種の国内生産が実質できなくなる。

ただし、現状3車種は海外生産のみで、現地生産についてはダイハツと海外当局の問題となる。2023年の3車種合計の国内販売台数は約7000台でしかない。型式指定取り消しが3車種にとどまるかが今後の焦点となる。

国交省はダイハツが出荷していた現行27車種について安全性を検証中で、安全性が確認された車種は随時公表していく方針。1月19日には5車種について安全基準に適合しているとして、出荷停止の指示を解除した。

5車種については生産・出荷の再開ができるが、親会社であるトヨタの長田准執行役員は「お客様や部品メーカー、地域といったブランドに関わる人たちが『造っていいよ』という状況が大前提」と強調する。

ダイハツは国交省による適合性確認が完了していない車種は2月16日まで生産停止とする(17日以降未定)。一方で5車種のうち2車種については「検討中」としている。

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