まず最低限必要なコストから。本格的に巡礼用品を揃え始めるときりがないが、白衣と首からかける輪袈裟(わげさ)はあったほうがいい。「私はお遍路です」と周囲にわかりやすいからだ。いわば野球ファンが球場で贔屓チームのユニフォームを着るようなもの。それだけで気持ちが上がる。
札所にお参りした証しとして御朱印を受けるので、御朱印帳は必須だ。ものによって価格は変わるが、リーズナブルなものに抑えれば白衣と輪袈裟、御朱印帳で6000円くらいではないか。
御朱印を受けるために納めるお金は300円(御朱印帳の場合。掛け軸はもう少しかかる)。都合88カ所で2万6400円となる。
普段のお寺では本堂のみに詣でることが多いが、札所では必ず大師堂にお参りする。双方でお賽銭を納めるので(他にもお堂があることも)、お賽銭は176カ所分が必要だ。
ざっと計算してみよう。白衣と輪袈裟・御朱印帳6000~8000円+御朱印代トータル2万6400円=3万2400円~3万4400円 (※プラスお賽銭176カ所分)
最低限かかるお金はこんなものだろうか。別途ロウソク代や線香代、お札やお守りをいただいたりすると、そのぶんも上乗せになる。
しかし、悲報が舞い込んだ。なんと2024年4月1日より納経料金が改定され、300円から500円になるという。2万6400円が4万4000円と、ものすごいインフレぶり。迷っている人は1日も早く回り始めたほうがいい。なお、納経代やお賽銭は現金オンリーなので、小銭への両替を忘れずに。
宿と食事は節約可能、繁忙期でも良心価格の宿坊
次に宿泊費について。計画的なお遍路ではなく行けるときに行って回れる札所に行く「区切り打ち」式で、かつコロナ禍もあったため、1番を打ってから結願までざっくり15年はかかったのではないかと思う。
1日3~4カ所回り、2泊3日滞在したと想定して、1回の四国旅行につき9~12札所を回ることになり、88÷9なら約10回、88÷12なら約7回。年1回訪れるペースでは、やはり10年程度かかる。歩き遍路の人は安い遍路宿や民宿などを利用されるのだろうが、筆者は1泊1万円前後のビジネスホテルを使うことが多かった。
(1万円×2泊3日)×10年=20万円
これに食事代が加わるが、お遍路が目的なので観光名所的な食事処に寄ることはなく、夜も簡素にすませば節約は可能だ。筆者も昼は麺類、夜は現地のスーパーで総菜を買ってきて……というパターンが多かった。
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