なお、お遍路旅にはリーズナブルかつありがたい宿泊施設がある。宿坊だ。札所のお寺に泊まることができ、朝夕の食事もついている(別料金でお酒もある)。駐車場も完備だ。もともとリーズナブル価格で、民間ホテルのように宿泊料が繁忙期だからと跳ね上がったりしない。大型連休や年末しかお遍路できない人にとっては実にありがたいのだ。
なお、宿坊はお遍路でないと利用できないわけではなく、幼児連れのファミリー客も見かけた。もちろんおひとり様でもOK。お大師様はどなたでも受け入れてくださるのだ。
ただし、88ある札所の中でも宿坊を備えたお寺は数が少ないうえ、団体の巡礼客が入るといっぱいになるので注意。
課題は四国までの交通費だ。筆者は東京からフェリーを使ったので、その往復費用が相当額かかってしまった。それゆえ1~2年に1回ずつのペースになり、結願まで10年以上かかったわけだ。歩き遍路でない限り、どうしても札所間の移動がネックとなる。これぞという節約法が思いつかないのは無念だ。
地元イチ押しスポットを発見しながらの旅
四国までの交通費はかかるが、お遍路中はそれほどお金を使わない。お寺に行くだけなので、大量に土産物を買うこともない。とはいえ、回っているうちに知らなかった観光スポットに遭遇することもある。今ではすっかりメジャーになった徳島県祖谷のかずら橋も、お遍路旅の途中で寄った(歩き遍路では通らない場所なのであしからず)。
金運を願いたいなら、香川県観音寺市の68番69番近くにある「銭形砂絵」は必見だ。有明浜の白砂に巨大な「寛永通宝」が描かれているのだが、大きすぎて展望台に上らないと全容がわからないほど。この砂絵を見れば健康で長生きし、お金に不自由しないと伝えられているそうで、筆者は2回も見に行ってしまった(無料である)。
鉄道好きにおススメなのは、JR伊予西条駅に隣接する「鉄道歴史パーク in SAIJO」。旧制西条中学出身で、第4代国鉄総裁として”夢の超特急”東海道新幹線の建設を実現した十河信二氏にちなみ、初代0系新幹線やC57形蒸気機関車など国鉄時代の車両が展示されている。運転席に乗り込むこともでき、乗り物好きにはたまらない。入館料が大人300円と激安のうえ、有名どころの鉄道博物館のように混雑していないのもいい。
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