大借金に汚れた国土、そのツケ回しは無責任--『創発的破壊』を書いた米倉誠一郎氏(一橋大学イノベーション研究センター教授)に聞く

──強力なリーダーシップが必要では。

いつも聞かれる質問だ。日本に今必要なのは、リーダー待望論ではない。創発的破壊なのだ。そこで、小さな行為の総和が想像を超えるパワーを生む創発が威力を発揮する。ビジョンとして言えば、日本が脱原発、脱炭素化社会のリーダーになるため、そこにすべての資源を集中する。ビジョンさえ共有していれば強力なリーダーはいらない。

チュニジアから始まった中東革命も、一つひとつは小さな力でも、全体として大きなアーキテクチャーを作れることを証明している。まさに創発。これおかしい、嫌だという小さな声が集まれば、既得権益に満ちた体制を壊して、新しい世界を作っていけるようになる。

──東北復興においても創発型の仕組みの腹案があるとか。

最初に特区からスタートして、最終的には道州制で進めるとうまくいく。東北地方のGDPを試算すると、ほぼ33兆円。規模としてはデンマーク一国より大きい。その規模で、地元の人たちがゼロベースからいろいろなスキームを考えるといい。

たとえば、東北に五つぐらいのコンパクトなエコシティを造ってはどうかと提案している。再生可能エネルギー使用で、職住接近。ただし建設に当たって、全体の調達の10%は地元企業、10%は海外企業、10%は新興企業に任せる、と枠をはめる。その運営も、分権化された地方自治体が手掛ける。そうなると東北は面白くなり、元気が出る。

少なくとも10%を海外企業にするのは、古い商慣習の中でやっていてはイノベーションが生まれないからだ。海外企業には、新しいアイデアの提供と、世界から投資を呼び込む誘い水になってほしい。世界が投資したいと思うような魅力的な町づくりを期待したい。

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