――制作会社などへの外注を削減し、過度な内製化を進めたことが、社員の負担増になっていたという声もあります。
そんなことはない。私が社長に就任した当時は、月の残業時間が100時間超えの社員がかなりいた。
だからうちは残業を減らそうということで、組合と36協定を結んで残業の上限を月45時間に決めた。人事異動をやったのは、そのための体制を作る目的もあった。
毎月の残業時間については、役員会で全部チェックしている。例えば月45時間を超えたなら、その原因を調べて是正させていた。今は以前より残業が減っている。
――組合によれば、武井さんから「(金銭で)協力しない市町村は取材に行く必要はない」などの発言もあったといい、報道機関としての責任も問われています。
そんなことは言っていない。なんで(組合は)そんなことを言うかな。
事業の再構築のためにニュース番組の時間を短縮したのは事実だ。お昼の番組を1時間から30分にして、20時からの番組も15分縮めた。結果的に、これまで1日10本のニュースを入れられていたものが6本になった。
群馬テレビは民間のテレビ局なのだから、ある程度利益を出す必要がある。ニュース番組は経費が約3億円で、収入が1億円しかない。単純計算では2億円の赤字だ。
組合は「県内のニュースについてはどんどん取材に行くべきだ」と言っていたが、社長として大幅な赤字が出ているところをそのままにしておくわけにはいかない。
ニュース番組で1回の取材にかかる費用を計算すると10万円になる。取材するニュースの価値も含めて考えていかないと、当然テレビ局としての経営は成り立たなくなる。
県への申し立ては「むしろ良かった」
――「そんなことは言っていない」と言いますが、組合は報道軽視とも受け取れるような発言が記載された臨時団体交渉の議事録を作成しており、県の労働委員会にも提出しています。
それは労働組合で作った議事録でしょ。そこには私に対する批判が書かれていて当然だろう。
私は組合が県の労働委員会に申し立てをしてくれて、むしろ良かったと思っていた。
――良かった?
そりゃそうだ。武井社長が「取材に行くな」と言ったとか、ありもしないようなことを書いているのだから。私が良かったと思ったのは、そこで労働委員会という第三者が入って判断してくれるようになったこと。実際、組合の申し立てに対するわれわれの考えを労働委員会にすでに提出している。
労働委員会の調停が2月5日に予定されていたから、そのタイミングで組合の主張に対してある程度歩み寄る形にするつもりだった。救済申し立ての時点で私がコメントを出さなかったのは、話したところで言い訳だと取られて、混乱を招くだけと考えたからだ。
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