――何かコメントする機会はなかったのですか。
なかった。それで「取締役会を閉会します」と言ってすぐに終わった。事前に監査役に見せていた内容も話せなかった。後で確認してみたら、会議はたった16分で閉会した。
――解職の決議をどう受け止めましたか。
普通は、代表取締役を解職するのであればそれなりの理由があるはず。社長がどうしようもないということであれば、第三者委員会を設けてきちんと議論をするべきだ。第三者に入ってもらい、それでも(社長を辞めさせないと)どうしようもないという結論ならば、納得できる。
あまりに突然すぎた。これまで一生懸命やってきたのに、解職の理由があれだとね……。
――労働組合は、武井社長による頻繁な人事異動(過去3年間で計25回、延べ122人)が現場の負荷になっていたと主張していました。
人事異動が頻繁だというけども、その中には昇格も多く含まれている。
そのうえで、私の考えでは若い社員は1つの仕事をおよそ2年で覚える。2年経った時点で、違う仕事を当然やってもらうことになる。そうしないと社員の能力は上がらない。何でもできるような社員を作っていくことは、企業が生き残るために必要だ。
アナウンサーだけやっていたら回らない
――組合によると、事前の相談もなく異動させられたケースもあったそうですが。
そんなことはない。人事異動は私の一存ではできない。実際に決めるのは私だが、その人がどんな能力を持っていて、どのくらい仕事ができるのか、すべて担当のセクションに聞いている。
異動は会社の業績を上げるためでしかない。会社の中には、日によって非常に忙しいセクションもあればそうでないセクションもある。複数の仕事ができる社員であれば、そのときだけ忙しいところに移ってもらうこともできる。
――組合員の中には、アナウンサーとして採用されたものの、営業局に異動させられたという社員もいます。どのような考えがあったのですか。
アナウンサーはテレビの画面に出ているので、お客さんは皆知っている。どこに行っても会ってくれる。その意味で、アナウンサーに営業をやってもらうことは理にかなっている。
NHKさんのアナウンサーは、アナウンサーしかやっていないかもしれない。だけどうちはアナウンサーだけやってもらっていたら、とてもじゃないが業務が回らない。そのことは入社の時に伝えてあり、当然みんな分かっている。
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