BRICsに投資しないことがリスク GSアセット・マネジメント会長ジム・オニール

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最近、主要企業の経営者の会合に参加した際、GE(ゼネラル・エレクトリック)の幹部に「新興国のリスクをどう考えているか」と質問すると、彼は「そこにいないことこそがリスクだ」と答えた。まさにそのとおりで、新興国と呼ばれてきた経済の成長機会のスケールを再認識すべきだ。

これらの国々は世界のあらゆる人々に影響を与えている。日本の銀座の将来もたぶん、中国人の買い物客に依存することになるだろう。ミセス・ワタナベ(日本の個人投資家)も、新興国に対する認識を変えるべきだ。世界最大の成長機会がここにある。

ちなみに私は明日、東京を発ってロシアに行くが、同国もすべてが劇的に変化しており非常にエキサイティングだ。新たなフロンティアと言える。

--すでに銀座や秋葉原は中国人観光客への依存度を強めている。

私の推測では、ビリオネア(資産10億円以上の富裕層)の数は今や米国より中国のほうが多いのではないか。10年後には、もっと急速に増えるだろう。

ミセス・ワタナベはもっと中国人を研究すべきだ。ムンバイやデリーやジャイプール、リオやサンパウロ、イスタンブールに行ったほうがいい。これらの都市こそ世界の成長のエンジン。もはや「新興市場」と呼ぶべきではない。

--成長市場は現在8カ国だが、今後は数が増えそうだ。

成長市場の数は将来もっと増えるだろう。その観点から言えば、中東地域の混乱もすべてがマイナス要因ではない。エジプトも将来は成長市場に入る可能性がある。イランもその可能性がある。また、あまり知られていないがナイジェリアはアフリカ大陸全体の人口の約20%を占める。この国も将来の成長市場の候補といえる。

■ブラジルレアルは危険ゾーン。株式市場ではロシア、中国が最も魅力的

--日本の投資家もこうした市場への関心は高いが、一方で近年、中国株の投資で大きな損失を被るなど難しさも感じている。成長市場に投資するうえで重要なことは何か。

心を広く持つこと(open mind)が大事だ。私は今の仕事を約30年続けてきたが、物事を過信することは非常に危険。偏見を持たず、リスクとリターンを冷静に考えることが重要だ。今のトレンドが永遠に続くと過信してはならない。

成長市場の8カ国は、本来的にすべての市場がリスキーだ。日本の個人投資家は過去に中国株で損失を被って慎重になっているというが、今、彼らはブラジルへの投資ではほとんど心配していないように見える。むしろ心配すべきではないか。

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