BRICsに投資しないことがリスク GSアセット・マネジメント会長ジム・オニール

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ただ、それも米国の景気次第で変わる。もし米国景気が一段と悪化すれば、QE3が実施されるかもしれない。逆に景気が安泰であれば、QE2で終わる。そうであればドルは強含み、コモディティ価格の一部は下落する。

--QE3の可能性は。

可能性はある(possible)が、低い(not likely)と思う。なぜなら、米連邦準備制度理事会(FRB)には明確なマンデート(責務)がある。すなわち、雇用の最大化と物価の安定だ。その観点から見れば、QE3の必要性は低いだろう。

最近の米国景気の減速は、自動車業界をはじめとして日本の大震災に伴うサプライチェーン寸断の影響が大きく、一時的なものだ。今後6週間(7月末まで)は非常に重要。日本の供給網は回復を見せており、その影響がほかへ広がっていくからだ。

■世界最大のリスクは欧州債務危機の拡大。カギ握るドイツの政治判断

--欧州では債務危機に収束のメドが立たない。先行きをどう見るか。

非常に不透明だ。私自身もEU(欧州連合)の中で育ったが、現在、世界が直面する最大のリスクがここにある。なぜなら、この問題は極めて複雑で、政治が深く絡んでいるからだ。危機を解決するには、ドイツによる強力なリーダーシップが必要となる。しかし、それは簡単ではない。

そのため、私は危機が広がることを懸念している。私の考えでは、それはギリシャの危機ではない。欧州経済通貨同盟(EMU)の危機だ。おそらくEMUの参加国は多すぎるのではないか。すべての国に参加を認めるべきではないだろう。

だが、言うのはたやすい。もし政策当事者であれば、扱いは非常に難しいだろう。

--危機はスペインやイタリアなどへ波及するのか。

私はそれを心配している。

--もし波及した場合、金融市場への影響は。

もしイタリアまで波及すれば、非常に弱気にならざるをえない。イタリアは大国であり、債務規模が大きい。世界にとってのマイナス材料、大惨事(disaster)となる。イタリアへ波及しないことを願っている。イタリアまで波及しなければ、問題は管理可能だろう。

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