BRICsに投資しないことがリスク GSアセット・マネジメント会長ジム・オニール
第1、第2の理由を総合して言えば、現在の世界は非常に混迷しており、人々は何をすべきかがわからない状態にある。このことは投資に関しても非常に難しいということを意味するが、その一方で非常にエキサイティングな環境だと私は考えている。
投資においてベストな機会は、往々にして人々が不安な状態のときにあるものだ。“Worry is good”(不安はチャンス)というのが私の見方だ。
--金融危機後に民間の債務が政府に移転され、欧州等で債務危機が深刻化するなど、いまだ森から抜け出していないとの見方は多い。
そのとおりだが、それは主に“The West”(西側先進国)での現象だ。世界には65億もの人々がいる。そのうち3分の2はBRICsとネクスト11諸国(BRICsに次いで潜在性を秘めた国々としてゴールドマンが取り上げた11カ国。具体的にはイラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナム、メキシコ)が占めており、こうした国々にはDebt Crisis(債務危機)は存在しない。
西側先進国の国際的な投資家たちは自分たちのことばかりに焦点を当てすぎており、本当の意味でグローバルに考えていない。
--最近、よくtwo speed economy (2速経済)と表現される。
そういうことだ。アジアをとってみても、日本経済は厳しい状況にあるが、他のアジア諸国はかつてないほどのブームの中にある。中国、インド、インドネシアという3つの人口最多国の経済はすべて非常に好調だ。つまり、2スピードは世界でもアジアでも見られる。欧州でも、(ギリシャなど周辺国が苦境にある中で)ドイツが非常に好調であることを人々は忘れている。
アジアの政策当局者たちは、クレジット・クライシス(信用危機)は「ノース・アトランティック・クライシス(北大西洋危機)」だと表現している。シンガポールも香港もブームに沸いており、豪州も好調が続いている。
■QE3の可能性は低い。商品高騰は沈静化へ
--米国では今月(6月)末にQE2(第2次量的緩和)が打ち切られる。これまでQE2は、ドル安やコモディティ価格の上昇、新興国市場の過熱の一因と言われてきたが、これが終了するとどういう変化が起こると考えるか。
おそらくコモディティマーケットには下押し圧力がかかるだろう。一方、ドルはこれ以上あまり下がらない。