北朝鮮の対外貿易額が増加しているワケ 中国への依存が高まり貿易額全体の9割に

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品目別に見ると、中国から電機や機械、プラスチックなどの輸入が増加したと説明する。逆に、中国への主な輸出品となる石炭や鉄鉱石、鉄鋼、スラグなどの輸出が2割近く減少している。ただ、衣類関連製品の輸出は増加している。

機械などの輸入が増え貿易収支は赤字に

輸入品のうち、上記のような品目が増加した理由として、北朝鮮国内での軽工業品の需要が増加していると同時に、金正恩第1書記が指示している国産品の増産のために工場などを中心に先端機械の輸入が拡大しているものと思われる。

KOTRAは今回の集計について、「委託加工や資源貿易など、中国と北朝鮮の相互補完的な貿易構造や、政治・経済的に北朝鮮の孤立が長期化といった点を考慮すると、中国に対する貿易依存度の高さは今後も続く」と説明している。

なお、KOTRAが今回発表した統計には、韓国との南北交易の額が含まれていない。韓国・統一省が発表した「2015統一白書」によれば、2014年の南北交易額全体は23.42億ドルと前年の11.36億ドルから倍増、史上最大規模となった。うち、北朝鮮から韓国へは12.06億ドル、韓国から北朝鮮へは11.36億ドルと前年比でともに増加している。

これには特殊要因もある。2013年は北朝鮮が南北経済協力のシンボルであり、韓国企業が投資している開城(ケソン)工業団地の閉鎖を宣言。事業が5カ月ほど停止した影響を受けて交易額が大きく減少した。その反動により増加額が大きかった。

中国と韓国という国境を接した2国との貿易に極度に依存した状態は、しばらく変わりそうにない。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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