東洋経済オンラインとは
ライフ #海外書き人クラブ

南仏のマクドナルドを「不法占拠」した彼の"望み" 貧困・治安悪化の街の騒動がフランスで話題に

7分で読める
  • 盛 真理子 海外書き人クラブ/フランス在住ライター
2/5 PAGES

店のウェブサイトをのぞいてみると、客とも店員ともとれない私服の人たちの笑顔が印象的だ。壁には「ファストフード」と書かれた文字。そう、ここはハンバーガーやフライドポテト、シェイクなどのイートイン、テイクアウトを専門とする飲食店なのだ。

「ラプレ・エム」の単品メニュー(写真:ラプレ・エム提供)
こちらはセットメニュー(写真:ラプレ・エム提供)

メニューをぱっと見た感じは、ほかのファストフードのチェーン店とさほど変わらない。バーガー類、ポテトやナゲットなどの単品商品があり、ドリンクとのセットメニューも並ぶ。値段も、ほかと比べて高くもなければ安くもない。ハッキリ言って、このような店は筆者の住むパリでもよく見かける。

しかし、なぜこの店がフランス全土で注目を集めているのだろうか。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターの集まり「海外書き人クラブ」の会員が店の仕掛け人に聞いてみた。

超貧困地区にとある異変が…

その答えを紹介する前に、今のマルセイユについて触れておきたい。

実は多国籍な風情を残す街の治安が、昨今著しく悪化している。その理由は、港からフランスに持ち込まれる麻薬や武器の数々と、それを売り買いする闇取引の横行だ。

2023年にマルセイユの麻薬密売に関わり犠牲になった人の数は、11月の時点ですでに45人と過去最多を記録。マルセイユが昨年のヨーロッパの都市のなかで「最も危険な街」に位置付けられた。

さらにこの街の貧困問題も深刻さを極める。マルセイユ市の人口約85万人のうち、貧困層と呼ばれる生活水準の人は24万人以上もいる。貧困率は約30%だ。

そんな街に誕生したファストフード店。筆者が店に問い合わせると、同店の創設者カメル・ゲマリさん(42)が取材に応じてくれた。

カメルさんは開口一番、「ここは地域住民のための店ではない」と言う。そして「この店は地域住民のためではなく、“地域住民とともに”存在するのです」と説明した。

次ページが続きます

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象