岸田首相がまさかの「宏池会解散」宣言の舞台裏 安倍、二階両派巻き込み「死なばもろとも」と決断か

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というのも、政界では「岸田派の立件」は想定外だったため、「自民党刷新本部」の本部長として、派閥の在り方などの「政治改革」に取り組む岸田首相が「火だるまになりかねない事態」(岸田派幹部)となったからだ。

思わぬ暗転に岸田首相は18日午前の官邸入りの際、岸田派の政治資金収支報告書への不記載額が3000万円に迫るとの疑惑について、「事務処理上の疎漏」「事務的なミスの積み重ねであると報告を受けている」などと素っ気ない受け答えを繰り返し、同派事務局もはその後、収支報告書を訂正するとともに、「当時の会計担当者の転記ミスや会計知識の過誤によって生じた」などとするコメントを出しただけだった。

この対応について、野党側は「即退陣表明が当たり前」(立憲民主幹部)などと猛批判。自民党内からも「あまりに無責任」「これまで長期間、派閥の会長だったので、知らないはずがない」などの批判が相次いだ。

このため岸田首相は午前中から昼過ぎにかけて、官邸内でひそかに林芳正官房長官や根本匠事務総長ら岸田派幹部と相次ぎ会談。その席で「派閥を解散したい」との方針を伝え、幹部らも了承したとされる。

事前連絡なしで麻生氏ら反発 

岸田派関係者によると呼び込まれた幹部の多くは「岸田首相は『こうなれば先手必勝だ』と決意をみなぎらせ、反論などできなかった」と苦笑していたとされる。

ただ、岸田首相は、後見人で刷新本部の最高顧問でもある麻生太郎副総裁をはじめ、茂木敏充幹事長ら他の党幹部とも事前調整をしていなかったとされる。だからこそ麻生氏らが不満を募らせ「刷新本部でのこれからの議論に意味がなくなる」「岸田派の抜け駆けは許されない」「トップリーダーの暴走にしかみえない」などの不満、批判が渦まく状況となった。

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