JR「自動運転・隊列走行BRT」公道走行で見えた課題 東広島市で実証実験、信号や割り込みどう対処?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

テストコースを使った実証実験は2023年7月に完了、社会実装に向けた次のステップとして、公道での実証実験が行われることになった。選ばれたのが東広島市である。

東広島市は広島市の東側に位置し、人口は19万人。広島大学が旧西条町に統合移転することが決まったことを受け、その受け皿として西条町ほか周辺3町が1974年に合併して東広島市として発足した。

実証実験が東広島市になった理由

移転後の広島大学と最寄り駅のJR西条駅を結ぶ交通アクセスとして、中央分離帯がある4車線の広い道路が整備された。歩道は緑が多く、電柱や電線は地下に埋設され、どこかヨーロッパの道路を思わせ、市民の間ではフランス語で「大通り」を意味する「ブールバール(Boulevard)」と呼ばれて親しまれている。

ブールバールには駅と大学を結ぶ路線バスが走っているが、広島大学の学生数は約1万1000人、教職員数は約5000人。ブールバールの整備に合わせ、市はバスよりも大量の旅客を輸送する新交通システムの導入を模索していた。「当時はLRTやモノレールを想定していた」と市の担当者は話す。この構想は日の目を見ないまま年月が過ぎた。市は「市内の移動を支える公共交通の利便性が十分でない」として、効率的で利便性の高い公共交通の実現を模索している。

一方、広島大学は次世代の公共交通サービスの構築に向け、キャンパス内で自動運転のEVシャトルバスを運行させる実証実験を2021~2022年に行っていた。そして、JR西日本も公道を使った自動運転・隊列走行BRTの実証実験の場を探していた。

この点において、JR西日本、東広島市、広島大学の思惑が合致した。3者は2022年11月に連携協定を締結、2023年11月から実証実験がスタートした。準備運転や技術検証を経て、実際に客を乗せて運行する試乗会が1月10日から2月4日までの日程で行われている。

自動運転バス 実証実験
公道を走行中の自動運転バス。運転士はハンドルから手を離している(記者撮影)
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事