あなたはネット投稿の怖さを知っていますか りそな従業員の芸能人「情報漏えい」の不幸

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ここからは憶測が混じりますが、今回の悲劇は、母親が娘と共通の話題を持ちたくて、関ジャニファンの娘に情報を持ち帰ってしまった。それを娘は「お母さんが持って帰ってきた!」とツイートしてしまったということかもしれません。

ツイートしたから事件になった

ツイートしなかったらここまでの事件にはならなかったでしょうが、してしまったために母親を内部告発する結果になってしまいました。西島秀俊さんの免許証情報を持ち帰った、という話までツイートされているので、もしコピーして持ち出しているようなら窃盗罪の刑事事件になる話ですから、ことは重大なわけですが。

一昔前なら、家族に話したことが、外に漏れるということはありませんでした。ツイッターやフェイスブック、YouTubeなどSNSやミニブログ、動画投稿サイトが出てきてからというもの、面白そうな井戸端話を誰でも気軽に書いて、画像や映像も添付できるような時代になりました。

現代のようなソーシャルメディア時代では、うかつな投稿をすると、個人情報、プライバシーの漏えい問題に容易に発展してしまう、今回はそんな典型的な事件だと言えます。インターネットを使って、誰でも世の中に広く公表できる時代になっているワケです。「何を書いたらいけないか」「どんな動画を投稿したらマズいのか」ということは、通り一遍の教育ではなく、それも子供だけでなく大人にも教えないといけません。

余談ですが、2ちゃんねるで個人特定の動きがあり、現在犯人探しが行われているようですが、個人名を晒すのは止めましょう。それも犯罪です。情報漏えいにかかわった当人は懲戒解雇になるでしょうし、親子の関係まで悪くなるかもしれません。社会的な制裁は十分受けています。

二つ目の不幸・・・情報を漏らされたが、漏えい当事者になる銀行

個人情報漏えい事件では、漏えいした主体の責任が厳しく問われます。委託先が漏えいしようが、従業員が誤って過失で漏らそうが、ウィルスに感染して情報が流出しようが、漏らした主体の責任が問われるわけです。今度の事件で、支店の関係者、個人情報保護責任者など、役員、管理職、社員の人事に影響が及ぶことが予想されます。

今回、最初のツイートが6月8日16時頃にあり、その日の22時50分に、りそなホールディングスが公式の謝罪文をホームページに掲載しました。今回の事件では事件発覚から謝罪までのスピードが異様に早いことに驚きました。これは悪いことではなく、事態を把握しいち早く謝罪を行うことは、広報の危機管理の面から言って正しいわけです。その点について取材したのですが、調査中で「教えられない」という答えでした。

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