では、日豊本線以外ではどうだろうか。実は、宮崎県内を走る路線の中で、県内のみで完結しているのは田吉―宮崎空港間の宮崎空港線だけだ。ほかの路線はいずれも鹿児島県と宮崎県を結んでいる。
1つは、霧島連山の北裾、えびの高原を走る吉都線。肥薩線の吉松駅からえびの市や小林市を経て日豊本線の都城駅までを結ぶ。途中には京町温泉などの観光地もあるが、1日の列車本数は下り9本・上り8本という超ローカル線だ。沿線には高校も多く、沿線の学生たちの通学専用路線の様相を呈している。
日南線は盲腸線
もう1つは、日南線。宮崎駅から大淀川を渡った先の南宮崎駅で日豊本線と分かれ、海沿いを大隅半島の付け根に向けて走ってゆくローカル線だ。最終盤で県境を跨いで鹿児島県志布志市に入る。かつては志布志駅で志布志線・大隅線と接続していたがいまはなく、終点で線路が途切れる盲腸線になっている。
日南線も吉都線と並ぶほどのローカル線だが、こちらには観光特急「海幸山幸」が走る。海幸彦・山幸彦伝説にちなんだ列車で、ここにも〝神話の郷〟宮崎らしさが垣間見える。沿線には青島や飫肥など観光地として知られている町も多く、昭和40年代には「新婚旅行のメッカ」などともてはやされた“南国・宮崎”を象徴する沿線風景を持つ。
また、日南線沿線はプロ野球のキャンプ地が多いのも特徴だ。宮崎市や日南市ではオリックス・ソフトバンク・西武・巨人・広島などがキャンプを張る。
韓国プロ野球や社会人野球、またサッカー・Jリーグなども宮崎でキャンプをするチームが目立つ。沖合を暖流の黒潮が流れ、晴れの日が多い宮崎はうってつけの土地なのだ。このあたりも、“南国・宮崎”らしさといっていい。
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