「路線はJRだけ」のレアな県、宮崎ご当地鉄道事情 プロ野球キャンプで人気、実は「JR最短」路線も

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まずは、どのようにして宮崎県に入るのか。それを考えることからはじめよう。

宮崎県内と県外を結ぶ主役は日豊本線、すなわち小倉から九州東部を縦断し、鹿児島湾を回り込んで鹿児島までを結ぶ九州屈指の大動脈だ。かつては東京からブルートレイン「富士」が走るなど、全国的な鉄道ネットワークを支えた路線でもあった。

日豊本線特急「にちりん」
宗太郎峠を越えて宮崎県内に入ったばかりの日豊本線特急「にちりん」。県境を跨ぐ列車のほとんどが特急だ(撮影:鼠入昌史)

そんな大動脈が宮崎県内を貫いている。北からは大分との県境にある宗太郎峠を越えて、日向灘沿いをひたすら南進。途中には、延岡や日向市、都農、高鍋、佐土原などの駅がある。

余談になるが、都農町付近では海側にリニア実験線の高架跡が並行している。

県内の主要都市を通る日豊本線

県都の宮崎駅を過ぎると内陸に進路を変えて、県内第2の都市である都城を経て鹿児島県に入る。すなわち、宮崎県の主要都市を連絡する、県内交通の軸を成す路線である。

特急「富士」は2009年に廃止され、九州外に出る在来線列車は一本も走っていない。ただ、九州内においては広域輸送の担い手としての役割はいまも健在だ。それを象徴するのが、特急「にちりんシーガイア」。博多―宮崎・宮崎空港間、現時点で日本で一番長距離を走る在来線昼行特急である。

ただし、特急「にちりんシーガイア」は1日に1往復だけのレア特急。かわりに、大分―宮崎間の「にちりん」が2時間に1本ペースで走り、都市間輸送を担っている。鹿児島方面も宮崎―鹿児島中央間を結ぶ特急「きりしま」が、こちらも2時間に1本ペース。つまり、日豊本線は全区間で特急が走っているというわけだ。だから、鉄道で他県から宮崎県に入るとき、だいたいは日豊本線を使うことになる。

リニア実験線の高架跡
都農町付近の日豊本線に並行し、海沿いを通る宮崎リニア実験線の高架跡。いまはソーラーパネルが並べられ、発電に活用されている(撮影:鼠入昌史)
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