そして、ひっそりとほんの少しだけ宮崎県内をかすめているのが肥薩線だ。スイッチバックにループ線と見どころ満載の肥薩線。そのうち、真幸駅だけが宮崎県。真幸駅より南側は鹿児島県、北側は熊本県を走っており、唯一熊本・宮崎を直結する路線でもある(肥薩線は2020年7月の台風被害により八代―吉松間で運休中)。
最後に忘れてはいけないのが、宮崎空港線だろう。なにも鉄道ばかりで宮崎県に入るわけではない。むしろ九州外の人ならば、飛行機で宮崎空港に行く人がほとんどではないか。となると、玄関口は宮崎空港にほかならない。そして、この空港は実に便利なことに、ターミナルビルの脇から宮崎空港線という鉄道路線が延びているのだ。
宮崎空港線が開業したのは1996年。田吉駅で日南線と分かれてから宮崎空港駅までわずか1.4kmは、JRの路線の中ではいちばん短い。しかし、特急「にちりん」「にちりんシーガイア」も乗り入れており、宮崎の玄関口ターミナルとしてはなかなかの存在感を見せている。
宮崎空港線は県を代表する路線
かつて国鉄時代、飛行機は鉄道のライバルであり、空港アクセスを便利にする鉄道など設けてなるものかという時代もあった。しかし、いまは共存共栄。他県に比べて鉄道ネットワークに恵まれていない宮崎県にあって、宮崎空港線こそ県を代表する路線といってもいいのかもしれない。
なお、宮崎県にはかつて妻線・高千穂線という山間部に分け入るローカル線も走っていた。いずれも国鉄末期に整理対象となり、高千穂線は第三セクターの高千穂鉄道に引き継がれるも、2005年の台風14号で被害を受けて運休、そのまま廃止になった。いまは廃線跡の一部を活用してトロッコ列車を運行、高千穂の観光資源になっている。
その高千穂とは(諸説あるらしいが)、天孫降臨の神話の郷。高千穂峡や真名井の滝といった景勝地もあり、神話を含めてなかなか見どころの多い町だ。高千穂牛というブランド牛は、個人的には日本でいちばんウマい肉だと思う。鉄道を観光資源として考えることが定着したいまならば、高千穂線の活用方法もあったのかもしれない。
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