「財務力が強い上場企業ランキング」トップ300 財務面から企業を評価、東京エレクトロンが1位

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主成分分析は多数のデータをまとめる手法

最後に主成分分析での評価のやり方を主要自動車6社の2023年3月期までのデータを例として簡単にご紹介しておくので参考にしていただきたい。

■線形結合(1次式)とその制約条件

Z=a×売上高営業利益率+b×売上高増減率+c×ROE+d×自己資本比率

制約条件:a^2+b^2+c^2+d^2 =1
Z:主成分(変数の数だけできる。この例だと4つできる。Z ^1・・・Z^4)
a、b、c、d:係数

主成分分析は、こうした多数の変数からなるデータを、情報量を減らさずに新しい変数(主成分)に集約することを目的とする。具体的には、元の変数の線形結合(1次式)を分散(バラツキ)が最大になるように作成する(=係数の値を決める)。係数と指標の関係が適切であれば、評価値としても使える。

■この例で主成分分析を行うと4つの主成分(第1~第4主成分)が求められる

・ 第1主成分(Z^1)
Z1 =0.57×売上高営業利益率+0.35×売上高増加率+0.55×ROE+0.51×自己資本比率
寄与率:65.3%

・ 第2主成分(Z^2)
Z2 =‐0.11×売上高営業利益率‐0.87×売上高増加率+0.39×ROE+0.29×自己資本比率
寄与率:22.1%

・ 第3主成分(Z^3)
Z3 =‐0.53×売上高営業利益率+0.20×売上高増加率‐0.29×ROE+0.77×自己資本比率
寄与率:10.5%

・ 第4主成分(Z^4)
Z4 =0.62×売上高営業利益率‐0.30×売上高増加率‐0.68×ROE+0.25×自己資本比率
寄与率:2.2%

(注)寄与率は、その主成分が全体の情報をどのくらい集約しているかを示す。第1主成分の寄与率は65.3%だったので、1つの主成分で全体の7割近くの情報を集約していることになる

岸本 吉浩 東洋経済 記者

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きしもと よしひろ / Yoshihiro Kishimoto

1996年東洋経済新報社入社。以来各種企業調査にかかわる。『CSR企業総覧』編集長として、CSR調査、各種企業評価を長年担当。著書に『指標とランキングでわかる! 本当のホワイト企業の見つけ方』など。2023年4月から編集局記者、編集委員、『本当に強い大学』2023年版編集長。

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