その計算をすると、答えは以下のようになります。
30km×1/60=500m
500m×2=1000m=1km
しかし実はこの問題の答えは1kmではありません。なぜこの計算では答えを出すことができないのか。ここに、これから説明する「微分」の考え方が隠されているのです。
もしこの問題が「時速30kmで車を2分間運転した場合、車はどのくらいの距離を進みますか?」という文章題の場合は「1km」が答えになります。もしくは、車が一瞬で時速30kmまで加速し、ブレーキをかけた瞬間に停まることができる場合もこの答えは正しいのですが、残念ながらそんなことはありませんよね。
速度計に表示されている時速が0km/h(停まっている状態)から始まってが1km/h、2km/h、3km/h……大きくなっていき、逆に減速する場合は30km/hの状態から29km/h、28km/h、27km/h……と小さくなっていくでしょう。
その速度変化にどのくらいの時間がかかったか、つまりどれだけの勢いで加速、減速したかによってこの問題の答えは変わってくるのです。
微分は関数の「変化率」を表す操作
ではこの時速はいったいどのように測られているのでしょうか。実はここに、皆さんが一度は聞いたことがあるであろう「微分・積分」という数学の単元が役立っているのです。
「微分・積分」とは、微積分学として知られる数学という学問の中の1つです。日本の現行の教育制度において、高校数学の数学Ⅱから数学Ⅲにかけて学習する単元になっています。微分・積分は関数の挙動や変化を理解し、数学的に記述するための重要なツールとして重宝されています。
微分とは、関数の「変化率」を表す操作のことです。ある関数の微分を計算することにより、その関数がどれだけの急さで上昇または下降しているかを示すことができます。微分は接線の傾きや速度、加速度などの物理的な概念を記述するために使用されています。
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