モバイルトイレ、NUKUMARU…トヨタの新たな挑戦 高齢者や障がい者、災害を「自分ごと」として

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さらに、若い女性に向けてのミストサウナによる美容効果の提案や、モバイルトイレと同じく災害時での避難施設などでの利用も、NUKUMARU事業として想定することになった。

こうしたNUKUMARUの多様性の追求に対してトヨタの社会貢献推進部は、2018年に登場したトヨタの新交通システム「e-Palette」など、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)を検討する中で、「NUKUMARUはMaaSの事業化を検証するコンテンツの1つ」という解釈を示す。

現在のNUKUMARUはハイエースをベースとしたものだが、「ハードウェアありき」ではなく「社会に役立つサービスの価値とは何か?」という事業としての軸足がしっかりあるのだ。

次世代技術を盛り込んだハードウェアではなく、「事業化の観点から、どうすれば社会実装できるか」という、社会におけるモビリティのあり方を深く考えるプロジェクトなのである。

認知症の人のナビアプリ「ツギココ」

続いて、「ツギココ」。これは、認知症の人が道に迷わないように、「次はここ」と家族がやさしく見守るような発想のアプリである。

ジャパンモビリティモビリティショー2023に展示されたツギココの実機(筆者撮影)
国際福祉機器展2023に展示されたツギココの実機(筆者撮影)

特徴は、目的地設定が簡単で感覚的にすぐ使えること。例えば、画面上に「病院」「公民館」「コンビニ」「自宅に帰る」という4つのアイコンを設け、歩行中にルートから外れたら音や振動で知らせると同時に、画面上にわかりやすい案内表示を出すなどだ。

ツギココ利用者自身、またはその家族がパソコンなどを使って出発前にルートを設定するのが基本操作。移動中の現在位置は、家族がソフトウェア上で確認できる。

開発したトヨタ先進プロジェクト推進部では、ツギココを「かんたん操作の徒歩ナビ」と表現している。徒歩移動中は画面表示を消すため、いわゆる“歩きスマホ”のような状態にはならない設計としている。

トヨタがツギココの開発を通じてまとめた資料によれば、認知症の人は2020年時点で631万人おり、増加傾向が続く。認知症ほどではないが、記憶や注意力など認知機能が低下した状態である軽度認知障害(MCI)の診断を受ける人もいる。

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