ちなみに、車名の由来は、チリ・アルゼンチン地方南部のパタゴニア地方に生息する野生の猫「パジェロキャット」。「野性味と美しさ」を調和させる願いを込めて名付けたという。
卓越したオフロード性能と乗用車並みの扱いやすさを両立することで、高い人気を獲得した初代パジェロは、モータースポーツでも大きな活躍をみせる。それが前述したダカールラリーだ。1978年に始まったこの競技は、当初、「パリ・ダカールラリー」という名称だった。フランスのパリをスタートし、アフリカ大陸のサハラ砂漠を通過、セネガルの⾸都ダカールをゴールするといったルートだったからだ。
砂漠や泥濘(でいねい)地、山岳地帯など、さまざまなタイプの悪路を走破して競うクロスカントリーラリーの一種で、猛暑のなかを一日800km以上走ることもあることで、世界一過酷なオフロード競技として知られていた。日本でも、1990年代などにテレビ放映されるほどの人気を博し、「パリダカ」の愛称で親しまれていたので、当時を知る世代であれば、懐かしさを覚える人も多いだろう。
ダカールラリーでの栄光
そんなパリダカに出場し、数々の栄光を手中にしたのがパジェロだ。1983年の初出場時には、いきなり市販車無改造クラスでデビュー・ウィンを達成。1985年には、全クラスの最上位となる総合優勝を初めて飾り、高いオフロード走行性能を世界に示した。当時は、モータースポーツでの活躍が、市販車のセールスにも大きな影響を及ぼしていた時代だ。パリダカで大きな成果を出したパジェロは、初代モデルからセールス的にも成功を収め、一躍4WD車の人気モデルとなった。
ちなみに、パリダカは、その後、名称をダカールラリーに変更。開催地域の政情不安により、ルートがたびたび変更されたためだ。2020年からは、舞台を中東・サウジアラビアに移しており、当初のパリ・ダカールからは離れた場所での開催となっているが、ゴールとなるダカールの名は現在も使われており、伝統ある大会としていまだに世界中のファンを魅了している。
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