だから日本の中古住宅は一向に活性化しない 空き家問題の遠因にも?「物件囲い込み」の愚
国交省は今年度中に、仲介会社間で物件情報を登録・閲覧できるレインズのシステムにステータス(販売状況)管理の機能を追加。仲介会社のほかに売り主も公的システムの上で販売活動の状況を確認できるようにする。
これによって同業他社が販売状況を電話で問い合わせてきた時、まだ買い付けの申し込みがない段階でも「顧客と交渉中」と偽って物件を紹介しない行為を防止するのが狙いだ。大手仲介会社の業界団体である不動産流通経営協会(FRK)でも5月27日の定期総会でステータス管理の導入に全面的に協力すると表明した。
囲い込みは「なくならない?」
とはいえ、長年続いてきた商慣習を断ち切るのは簡単ではない。不動産業界では「仲介保証などの顧客サービスが充実している大手に物件を預ける。そんな売り主が増え続けている現状を打破しない限り、囲い込みはなくならない」との声も聞こえてくる。
「なぜ物件囲い込み問題が急にメディアでクローズアップされたのか。誰が仕掛けているのかもわかっている」。不動産流通業界に詳しい業界紙記者は内幕をそう明かす。
物件情報の囲い込みは宅建業法で禁じられているものの、顧客にとっての不利益が分かりにくい問題だ。確かに売り主にとって販売の“機会損失”になるが、実際にいくら不利益が生じたかは証明するのが難しい。
売り主にしても物件を預ける時に仲介会社と結ぶ媒介契約の有効期限である3カ月以内に当初に取り決めた売り出し価格で売却してくれれば不満はないはず。買い主も、ほとんどの仲介会社が仲介手数料を物件価格の3%+6万円としている現状では「どこから買っても同じ」と思っている人は少なくないだろう。
一方、大手仲介会社による物件囲い込みで最も困っているのは、中小の仲介会社や新規参入事業者。営業エリアが限られる中小事業者や実績が乏しい新規事業者には売り主もなかなか物件を預けてくれない。仲介会社が売り主と専属専任媒介契約、または専任媒介契約を結んだ物件はレインズに情報登録の義務があるので、登録された売り物件に客付けして仲介手数料を稼ごうというわけだ。
そこに大きく立ちはだかるのが大手による物件囲い込みである。そんなわけで今回の騒動を「業界内の勢力争い」と冷ややかに見る関係者もいる。
重要なのは中古市場を活性化し消費者にメリットのある市場環境をどう実現するか。その点について3つのポイントがある。
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