営業マン社長が率いる不二越の「所得倍増計画」


 一連の改革を、本間社長は「何も考えずにやってきた」と言う。「中国の人口は日本の10倍。単純に考えればベアリングも機械も10倍の需要がある。中国で売れそう、だから、中国へ行く」。企画畑出身の前社長と異なり、自身は営業や製造部門を長く歩んだ。「営業は大手から落とす」「(幅広い商材の中から)まず一つ売る。そこから広げる」など、独自の営業哲学も持つ。本人によると中国への傾注は「動物的な勘」。周囲に言わせればそれは、「営業マン社長の現場の勘」だ。

縮小均衡を脱しさらなる規模拡大へ

大赤字からV字回復を果たした今、目指すは規模の拡大だ。2000年代の不二越のテーマは「選別と統合」。小径ベアリングからの撤退など、低採算事業の見直しに取り組み、00年度に3・6%だった営業利益率を07年度に8・6%まで引き上げた。その一方、事業が縮小均衡に陥った、という反省がある。だからこそ、次の目標は大きい。2020年度に売上高4000億円。曰(いわ)く「所得倍増計画」だ。

もちろん、海外生産の拡大や現地採用人員の活用など、取り組むべき課題も多い。競合の激化も必至だ。

「売上高もシェアも高いほうが社会的地位は高い。売り上げが増えれば給料も増える。そうしたら家族にも喜ばれる。そのほうがいいでしょ」(本間社長)。壮大とも思える目標達成に向け、どんな手を打つのか。真価が問われるのはこれからだ。

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(小河眞与 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年6月25日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

ほんま・ひろお
1945年7月生まれ。70年青山学院大卒、不二越入社。99年部品事業部長。2001年取締役。常務、副社長を経て、09年から現職。

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