ダイハツの根幹を揺るがす「大規模不正」の波紋 相次ぐ不祥事に問われるトヨタのグループ統治

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こうした傾向を強めたのが11年に投入した軽トールワゴン「ミライース」。通常は4~5年かかるとされる新車開発を、体制改編などを通じ17カ月で実現、大ヒットにつなげた。

第三者委はこの成功体験が短期開発を重視する社内風土を強めたと分析。「認証試験は合格して当たり前。不合格となって開発、販売のスケジュールを変更するなどということはあり得ない」という考えが浸透し、現場任せで管理職が関与しない体制や、チェック体制の未整備、などが重なり、不正につながったと結論づけている。

安全試験や認証に関連する部署の人員が、ピークの10年から22年には3分の1に削減されていたことも明らかになった。

補償内容については部品会社に個別で交渉

これらを経営の責任と指弾する一方、組織的な不正については、「ごく一部の例外を除き、組織的に不正行為を実行・継続したことを示唆する事実は認められなかった」と否定した。

ダイハツは軽市場で3割のシェアを握り、スズキとトップ争いを続けてきた。が、今回の不正発覚で打撃は避けられそうにない。

所管する国土交通省は不正発覚後、ダイハツ本社への立ち入り検査を連日実施。独自の調査結果を踏まえて、量産するための「型式認定」の取り消しや、是正命令といった道路運送車両法に基づく行政処分を検討する。

今後はサプライチェーンや販売店、顧客への影響が焦点の1つになる。ダイハツは2月以降の生産再開について見通しが立っていないという。

帝国データバンクによると、ダイハツと取引のある企業は国内で約8136社、派生する売上高は約2.2兆円に達するという。ダイハツは今後部品会社と補償内容について個別で交渉していくという。

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