ダイハツの根幹を揺るがす「大規模不正」の波紋 相次ぐ不祥事に問われるトヨタのグループ統治

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全国のダイハツ販売店は23年末時点で販売を実質停止しており、今後は販売店への支援も求められそうだ。ダイハツによると、顧客に対しても出荷前の契約について頭金の返金に応じるなど個別に相談していく。

「トヨタの傘下じゃなかったら潰れているような事態だ」。ダイハツとも取引があるトヨタ系部品メーカーの幹部はそう強調したうえで、「どれくらいの影響が出るのかもわからない。一社一社細かく補償を決めていくにしてもいつまで時間がかかるのか」と指摘する。

再建に手間取れば「痛手」は大きい

親会社であるトヨタも影響を免れない。野村証券の桾本(くぬぎ もと)将隆アナリストは「仮に、ダイハツが1カ月生産を停止し12万台減産すると、トヨタの売上高は2400億円減少し、サプライヤーへの補償も含め営業利益は1000億~1500億円減少する」と試算する。

12月20日の会見で質問に答えるトヨタの中嶋副社長(撮影:尾形文繁)

国内60万台、海外50万台を販売するダイハツは、トヨタグループの販売台数の約1割を占める。ダイハツの再建に手間取ればトヨタにとって痛手は大きい。

近年、トヨタグループでは日野自動車や豊田自動織機でエンジン試験の不正が発覚。系列ディーラーでも車検不正や修理代金の過剰請求問題が明らかになるなど、ガバナンスをめぐる不祥事が相次いでいる。

トヨタの中嶋裕樹副社長は20日の会見で「トヨタグループも完璧な会社ではない」と話した。豊田章男会長は出張先のタイで「一日も早く信頼を取り戻せるよう、親会社として全面協力する」と陳謝した。

信頼を最大のブランドとしてきたトヨタ。グループガバナンスを自らの問題として対応する必要がある。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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