欧州「新型寝台車」需要拡大だけでない導入の理由 「ナイトジェット」イタリア防火対策強化に対応
座席車は、オープンスタイルの客車でスペースは少々狭いが、足元にはフットレストが設けられ、座席背面のテーブルは今どきの利用実態に合わせ、上下2段で使用できるなど、若年層の利用を考慮した細かい工夫が凝らされている。
従来車置き換えを急ぐ背景
ナイトジェットが誕生した当時、車両はオーストリア連邦鉄道が自社で保有していた既存の車両だけでは不足するため、旧シティナイトラインで使用していた車両のうち、比較的車齢の若い車両を譲り受けた。
ダイヤ改正前日までドイツ国内で使用していた車両を一斉にオーストリアへ移動させるため、ダイヤ改正前後はウィーン方面へ向かう通常の旅客列車の最後尾に、ドイツの寝台車が回送で連結されていく姿を何度も見かけた。改正後も、すべての車両の塗装変更は間に合わず、ドイツ鉄道の赤と白の車体のまま営業を行い、中には会社名がドイツ鉄道(DB)と表記されたままの車両まであった。
手探り状態の中、オーストリアのみならず周辺国でも営業を開始したナイトジェットは、高品質なサービスに加え、折からの環境問題を追い風に順調に業績を伸ばし、路線網は年々拡大していった。路線網が広がるにつれて運用する車両数も増え、車両は不足気味となっており、最近では民間企業が保有する寝台車をリースして使用するケースも見られた。
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