デジカメ増産のニコン、なぜ海外部品を選んだか
ニコンが主力の一眼レフデジタルカメラについて、大幅増産することが明らかになった。2012年3月期の生産台数は、前期比30%超の約540万台に引き上げられるもよう。生産計画は公表していないが、期初では前期比微増の慎重な見通しと思われる。販売も「前期の429万台から微増」との期初想定より上振れしそうだ。
ニコンは一眼レフ生産の9割をタイ工場で手掛けていることから、本来なら東日本大地震の直接の影響は限定的。だがイメージセンサー(撮影素子)を中心に、一部部材が調達難に陥っていた。そのため「6月までは稼働率が低下し、本格回復は秋になるのではないか」と見込んでいた。
想定外の増産に踏み切る決め手となったのが、海外部品メーカーとの取引の開始だ。米アプティナイメージング社から、一眼レフ用撮影素子の供給を受けるもよう。
実は震災前から、ニコンは新たな供給元を模索していた。10年夏、需要に見合う撮影素子を調達できず、フル生産を逃したからだ。アプティナは三洋電機に撮影素子の納入実績があり、ニコンは三洋からコンパクトデジカメのOEM供給を受けている。この経緯で今回の商談に発展したとみられる。撮影素子の主要調達先のソニーも回復基調にあるが、結果的に海外からの基幹部品調達へ舵を切った。
さらにコンデンサーなど汎用部品の海外調達を積極化したのも奏功した。「部材調達は好転、前倒しで安定しそう」とニコンも認める。