「部分最適」でDXに失敗する企業に必要な視点 成長と競争優位獲得を実現する「再配線」とは

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なお、現在自社がどのようなデジタル人材を保有しているかを把握することは、思ったよりも難しい。日本企業においても有効な手段として、マネージャーによるトップダウンの評価、自己評価、オンライン技術テスト、技術面談などの手段を組み合わせて既存のデジタル人材のスキルを特定するという方法がある。

そして社内DX人材の特定後は、DXロードマップの将来の人材ニーズと照らし合わせ、人材ギャップを特定することが肝心である。その際に、実際の技術スキルだけではなく、柔軟性やコミュニケーション能力、協調性、そして最も重要な学習意欲など、デジタル時代において重要な内在的特性を見極めることも忘れてはならない。DXリーダー企業では、プロジェクト管理職のような、これまでウォーターフォール型開発と関連づけられていたカテゴリーの人員を削減し、ミドル層の“コードを書く人材“を増やすことで開発能力効率をプラス15%引き上げることに成功している。

データの重要性を再確認する

次に、データのRewiredについて見てみよう。

日本企業がDXに取り組む際、データ整備はしばしばストレスの原因となっている。デジタルソリューション開発を行う時間のうち、最大70%がデータの整理や統合に費やされていたというケースも存在する。これらの問題の多くはレガシーかつサイロ化したシステムに起因するため、DXに取り掛かる企業はデータを簡単に利用、再利用するための「データアーキテクチャの構築」が不可欠である。

このゴールを達成するために中心的な役割を果たすのがデータプロダクトだ。これは、チームやアプリケーションを問わず組織全体で容易に利用可能な、集約およびパッケージ化されたデータ要素のセットである。加えて、DXの為にすべてのデータの整理を行うには膨大な時間がかかるため、データドメイン内で優先順位を特定すべきである。例えば、顧客データ内には、顧客名、住所、クレジットカード番号、家族構成など、数百から数千のデータ要素がある。自社の狙ったユースケースを達成するための最も重要な要素を特定しリソースの大部分を集中する必要がある。

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