年末年始"さんま無双"68歳が依然求められる必然 ダウンタウン、マツコらを寄せつけぬ10特番に出演

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前述したように年末年始特番は、さまざまな立場のさまざまな世代が集まるだけに、「ベテランMCでも難しさがある」と言われています。MCとしてのスキルはあっても、ベテランになると「年下世代に構えられてしまう」「トークが噛み合わず、弾みづらい」というケースがあり、いわゆる“裏回し”(MC以外の出演者が話を振ったりフォローしたりなど進行を手伝うこと)のタレントを用意するケースが少なくありません。

しかし、年下世代に構えられても、それを何とか崩そうと働きかけ、トークが弾まなければ自らボケて空気を変えようとするのが、さんまさん。何より、立場や世代を気にせずコミュニケーションを取ろうとし、特に多少無理をしてでも年下世代に食い込もうとする姿勢がスタッフたちをうならせています。

「さんタク」(画像:フジテレビ公式ホームページ)

年末年始だからこそ「元気」が響く

タレントではなく一般の人々も、年齢を重ねるほど、組織でベテランの立場になるほど、落ち着いたスタンスを取り、対人関係でも無理をしなくなっていくもの。さんまさんのように、年下世代との接点を自ら探ろうとしたり、年下に合わせようとする人は少なく、だからこそ定年の年齢を超えても現役バリバリとして活躍できるのでしょう。

もう1つ業界内でたびたび、さんまさんが称えられているのは、見た目の若々しさ。67歳には見えず、年齢を忘れてしまうほどの若々しさが、お祭り騒ぎしたい年末年始特番での活躍につながっています。

その若々しさは、単なる見た目のよさというよりも、表情や振る舞いからにじみ出る元気。表情豊かで愛嬌があり、いい意味で落ち着きがなく、年下がつけ入るスキもある。知り合いのディレクターが、「番組のど真ん中にいる人が元気に見えなければ、視聴者に元気を与えられない」とテレビのセオリーを語っていましたが、その象徴がさんまさんなのです。

「さんまさんは今年も元気だったな」と一年を振り返り、「さんまさんが今年も元気なんだろうな」と一年をはじめる。中高年層にとっては一年の節目に「自分も元気でありたい」と思わせられる存在なのでしょう。

もちろん、すべての人々がさんまさんを好きというわけでななく、「『俺が俺が』と前に出すぎる」「価値観が古くてついていけない」などと悪い意味で昭和のムードを感じてしまう人もいるようです。ただ、忘年会や新年会のようなお祭り騒ぎが好まれる年末年始特番に、そんな昭和のムードを持つさんまさんがフィットしやすいのも間違いないでしょう。

さんまさんがどの季節よりも若々しく、生き生きとした姿を見せる時期だけに、いつも以上に注目してみてはいかがでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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