任天堂の「Wii U」は血みどろの戦いを覚悟したのか?《それゆけ!カナモリさん》

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 そこで、任天堂は「ブルーオーシャン」を見つけることにしたのだ。ブルーオーシャン戦略は戦わない。新たな市場を創り出す。「コアなターゲット」などのような、特定のセグメントを狙わない。新たな市場において、今までターゲットになっていなかった層を丸ごと取り込む。そして、新たな価値を訴求して、今まで持っていた付加価値からいらないものをどんどん捨てていく。任天堂はWiiを開発し、これまでゲームを手に取ったことのない人でも楽しめる、学べる、運動できる道具を提供するというブルーオーシャンを開拓したのだ。

Wiiは大勝利を収めた。VGchartzという家庭用ゲーム機やゲームソフトの売上データを収集し公開しているウェブサイトによれば、「Wii」の累計販売台数は約8700万台と頭一つ抜けている。Xboxは約5400万台、PS3は約5000万台だ(VGchartzの数字の信憑性問題もあるので、あくまで概要として捉えておきたい)。

しかし、ライバルも黙って指を加えているわけではない。6月11日付日本経済新聞の記事によれば、「マイクロソフトやソニー・コンピュータエンタテインメントも体感型の機能を搭載したゲームで攻勢をかける。Wiiは独自性を発揮できなくなり、10年度の世界販売は1508万台と前の年度に比べ27%減った」という。

もはや任天堂とWii Uの前に広がっているのは「ブルーオーシャン」ではなくなってしまった。競合と血みどろの戦いを繰り広げる「レッドオーシャン」である。

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