現場エースが管理職になると疲弊する会社の盲点 「来期から管理職ね。よろしく」だけは危険なワケ

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プレイングマネージャーをやってもらう場合は、プレイングとマネジメントの比率を明確にしましょう。たとえば、プレイヤーがメインなら、プレイが6、マネジメントが4という比率を示して、「週2日は営業に行かず、部下の同行をしてください。その代わり、今まで100だった目標数字を60に減らします。減った分の40は部下の面倒を見る時間に当ててください」などと伝えるのです。

管理職が疲弊すると、その会社に未来はない

管理職とは、そもそも何をするのか。プレイヤーとマネジメント、どちらをメインにすればいいのか。その比率はどれくらいか。このようにして会社側からやるべきことを具体的に伝えてあげないと、プレイングマネージャーになる人が可哀想です。「数字も上げろ、人を育てろ」では、エースで4番も間違いなく疲弊します。

ある企業のアンケートによると、「管理職になりたくない」と答えた人は77%にのぼります。これは長年のプレイングマネージャー偏重主義がもたらした結果でしょう。管理職がみんな疲れているから、社員も将来に希望が持てなくなって、会社が沈滞してしまうのです。こういう状況は変えていかなくてはなりません。

企業の管理職研修の講師をする際、私はよくこんな話をしています。「みなさん、すいませんが、楽しそうに仕事をしてくださいね。あなたたちが辛そうにしていると、あなたたちの部下は将来に希望が持てなくなります。管理職になった人が楽しそうに仕事をしていなかったら、この会社に先はないですよ。はい、笑ってください」。

あなたの会社も管理職になったからといってマネジメントだけに専念してもらうのは難しい状況かもしれません。それでもプレイングマネージャーのあり方については、もう一度、よく考えてみてください。エースで4番に限らず、管理職が笑顔で楽しそうに仕事を続けていくためには、それができる仕組みが必要です。

管理職になったら、個人の数字は持たせない。あるいは、減らす。プレイングマネージャーは、チーム全体の数字で評価する。評価基準に「人材育成」の項目を設けて、部下の人事評価が上がったら管理職の評価も上げる――。

プレイングマネージャーの負担を下げ、管理職としてのモチベーションを上げるための方法はいろいろあります。その仕組みを考えるのが、人事の仕事です。

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アルファポリスビジネス編集部

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