日本人は「国民負担」の増加にもっと怒っていい 税収増加で財政規律が弛緩している

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2019年度には、所得税収や法人税収も落ち込んだ。しかし、2020年度には、税収は増加に転じている。そして、その後、冒頭で述べたような顕著な税収増となったのだ。

2021年後半からは物価が上昇したので、この影響と思われる。所得税は累進税率になっているので、名目所得が増えれば、名目成長率以上に税収が増える。消費税は比例税だが、名目消費額が増大したため、税収が増加したと考えられる。

国民負担率が5割近くに上昇

この結果、国民負担率が上昇している。ここで、国民負担率とは、国税や地方税の租税負担と年金や健康保険の保険料などの社会保障負担の合計を、国民所得で割った数字だ。

財務省の資料によると、財務省の国民負担率の推移によると、昭和50年度の国民負担率は25.7%だった。その後上昇して平成2年度には38.4%になった。その後若干低下したが、平成21年頃からは増加の一途をたどっている。そして、2023年度の国民負担率は46.8%になる見通しだ。

国民負担率が上昇する主要な原因は、これまでは、社会保障負担の増加だった。国民負担率と社会保障制度が密接に関連していることは、国際比較からも確かめられる。

財務省の資料によると、2020年度の国民負担率は次のとおりだ(財務省、国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国))。

・アメリカ 32.3%
・イギリス 46.0%
・ドイツ  54.0%
・フランス 69.9%
・スウェーデン 54.5%

日本の数字は、ヨーロッパ諸国と比べれば低いが、アメリカよりは大分高い。

アメリカの国民負担率が低い大きな原因は、公的な医療保険制度がなく、医療保険は民間のものだけであることだ。したがって、国民負担率が低い半面で、医療費の自己負担が高額だ。

その半面で、スウェーデンとフィンランドの国民負担率はかなり高くなっている。それは、福祉サービスが充実していることの反映だ。

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