シンボルグラウンディングは可能性を縮める?
前回の本欄「ChatGPTでついに「英語」が習得できるようになる シンボル・グラウンディングを活用した勉強法」(11月26日)で、人間は「グラウンディング」する(実体験に結び付ける)ことによってさまざまな概念を理解しているのだと述べた。
しかし、グラウンディングが常に正しい理解法とは限らない。また、そこから本当に新しいものが生まれるかどうかもわからない。
グラウンディングすると、わかりやすくなる。だから、わかりやすくするために、例を挙げるなどして、実体験に結び付けて説明する。学校でもそうした指導がなされる。しかし、それによって、実は、我々は本当の意味での可能性を縮めているのかもしれない。
科学史を改めて振り返ってみると、科学を進歩させた原動力は、日常経験からは離れた発想から生まれたことがわかる。
その典型例が、コペルニクスによる地動説だ。これは「コペルニクス的大転換」と言われるように、科学史における大きな転換点となり、後の科学革命への道を開いた。しかし、地動説は、日常体験の延長からは出てこない発想だ。つまり、「グラウンディングする」という理解法からは出てこない。
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