創造分野でAIが今「できること」と「できないこと」 AIは人間を超える創造活動をできるか?

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日常体験は、大地は絶対に動かないと教えている。太陽や月、星を観測すると、動いている。それは、太陽や月や星が地球の周りを回っているからだ。天動説は、そのように教えていた。

地球が丸いことは古代ギリシャ時代にすでにわかっていたが、地球が宇宙の中心になって、その他のものが地球の周りを回っているというのは、キリスト教の基本的な教義だった。だから、それに反論することはできなかった。

「地動説」が誕生したきっかけ

コペルニクスが地動説を提唱したきっかけは、当時の天文学の複雑さと不正確さに対する不満だったと言われる。

当時主流だったプトレマイオスの天動説は、地球を宇宙の中心に置き、他の天体が地球を中心に動くと考えていた。しかし、このモデルは、天体の動きを説明するためにエピサイクル(小円運動)を導入しており、非常に複雑なものだった。

また、 コペルニクスは、天動説が提供する予測が実際の天体観測データとしばしば一致しないことに気づき、より単純で正確なモデルを求めていた。コペルニクスは、地球が太陽を中心に動くというモデルが、天動説よりも数学的に単純で美しいと考えた。彼のモデルでは、天体の運動をより少ない仮定で説明できるのだ。

ガリレオの考え(重さの違う物体は、真空中では同じ速度で落下する)も、ニュートンの考え(力が働かない物体は、等速運動を続ける)も、日常の体験には反するものだ。しかし、これらによって物理学が進歩した。

相対性理論も同じだ。時間や空間が伸び縮みするというのは、我々の実体験からは理解できないことだ。私はいまだに理解できない。

数学ではどうか? 自然数(正の整数)は、明らかに実体験に即している。ものが1個、2個、3個とあるのに対応しているからだ。整数も実数も、体験的に把握できる。

では虚数はどうか? i(平方して -1 になる数)という概念は、実体験では理解できないものだ。

この概念は、16世紀のイタリアの数学者ジェロラモ・カルダーノによって初めて導入された。カルダーノは、3次方程式の解を求める過程で虚数に遭遇した。もっとも、彼は虚数について完全には理解していなかった。17世紀になって、レオンハルト・オイラーなどの数学者が虚数の理論を発展させ、現代数学における虚数の基礎を築いた。

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