VWが中国向けEVの「スマート化」急ぐ切実な事情 地平線機器人と共同で自動運転システムを開発

✎ 1〜 ✎ 124 ✎ 125 ✎ 126 ✎ 最新
拡大
縮小

エンジン車の販売減少にEVの低迷が重なり、VWグループの中国市場での総販売台数は減少し続けている。ピークの2019年には423万台を販売したが、2022年は318万台と3年で100万台以上も落ち込んでしまった。

世界の自動車大手のなかで、VWはEVシフトに最も積極的なメーカーの1つだ。同社は本拠地のヨーロッパ市場で、2023年1~9月に34万1000台のEVを販売した。

にもかかわらず中国での販売が振るわないのは、(EVとしての基本性能の問題ではなく)クルマのスマート化の面で中国メーカーに後れを取り、消費者に目新しさを訴求できなかったためとみられている。

複数のアプローチを同時進行

危機感を強めたVWは、中国市場向けEVのスマート化を一気に加速するため、複数のアプローチを同時に進めようとしている。カリゾンの設立を通じた地平線機器人との提携は、その1つにほかならない。

VWは中国企業の技術を取り込み、EVのスマート化を加速しようともくろむ。写真は2023年4月の上海モーターショーに出展した地平線機器人のブース(同社ウェブサイトより)

これに先立つ2023年7月、VWグループは中国の新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)への出資および両社の技術提携を発表。小鵬汽車の既存車種をベースにした2車種のEVを共同開発し、VWブランドで中国市場に投入する計画を明らかにした。これらのEVには、小鵬汽車が開発したAI自動運転システムが搭載される。

本記事は「財新」の提供記事です

財新記者の取材によれば、VWグループの上級ブランドのアウディは、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と共同でスマート自動運転システムの開発を進めている。その最初の成果となる新型車は、2025年に中国市場で発売される見込みだ。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は12月9日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT