「東北でのクルマづくりを続け、雇用を含めて被災地を長期的に支えていく」--トヨタ自動車の株主総会で豊田章男社長が発言
トヨタ自動車の株主総会が17日、午前10時から愛知県豊田市の本社で開催された。
冒頭で、豊田章男社長が2011年3月期決算や東日本大震災後の状況について説明。「(円高などで)日本発のグローバル企業として非常に厳しい環境にあるが、カイゼンの精神で常に自らを改革し高い目標を目指していく」と述べた。
今回の震災では、トヨタと直接取引がない2次下請け以下の仕入れ先を含め、659もの生産拠点が被災した。阪神・淡路大震災で被災したのは13拠点、新潟県中越地震では8拠点だった。製造が止まった品目が多岐にわたったほか、半導体製造工場や石油化学コンビナートの停止、福島第一原発の警戒区域内にある工場からの生産移管など、いくつもの困難な課題に直面した。
3月から4月初めにかけて被災地を何度か訪れた豊田社長は、「東北の被災地が復興するには相当な期間が必要。東北でのクルマづくりを続け、雇用を含めて被災地を長期的に支えていく」と言明した。
株主からの、「国内の生産基盤を今後も維持できるのか」との問いには、生産担当の新美篤志副社長が「基本方針は売れるところで生産するということ。一方でレクサス、プリウスなど先端的なクルマは日本で生産する。日本と先進国、新興国とバランスのよい生産体制をつくっていく。努力して日本でのものづくりは守っていきたい」と回答した。
別の株主は、今年2月に米国政府が問題なしと結論づけたトヨタ車の電子制御について質問。トヨタ車の電子制御に、急加速を引き起こす欠陥があるとの問題提起をした米国の大学教授への対応をただした。
この質問に対しては、終始この事案で矢表に立った品質担当の佐々木眞一副社長が回答。「アクセルを踏まなくてもスロットルが開く、という報告だったが、非常に意地悪な想定での実験であり、インチキをしたといっても過言でない」としたうえで、「個人的には納得していないが、本人も信用を失った。とくに対応は考えていない」と答えた。
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