そんな多々良駅から県境を跨ぐと、車窓はまったく一変する。見渡す限りの田園地帯。ひたすら田んぼ、田んぼ、田んぼ。季節が違えば田植えやら、稲刈り間近やら、四季折々の姿を見せてくれるのだろう。
そんな田園地帯の中に、唐突に工場が現れたと思ったら、その目の前にあるのが県駅だ。“けん”ではなくて“あがた”と読む。田園地帯の真ん中の、もちろん駅員さんのいない無人駅だ。
「駅前では産業団地を造っているんです。産業団地ができればお客さんも多くなるんでしょうか。いまは田んぼの真ん中に足利南高校がありまして、その通学で学生さんの利用が中心ですね」(宮田駅長)
産業団地の造成中
島式ホームから階段を登って駅の南側にある小さな駅舎に向かう、シンプル極まる駅構造。駅舎の前には自転車がずらりと並ぶ。学生たちが駅前の一角を駐輪場代わりに使っているのだろう。
その奥にはできたばかりの産業団地の一部。線路の反対側も新たに造成が続けられている。数年後の県駅は、田んぼの中の駅から大工場群の中の駅へと立場を変えているのかもしれない。
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