日本で最も「自転車を見かけない」街の真実 あのリゾート地の知られざる姿を見た!
自転車の大敵がもうひとつ。それは道路事情。実は沖縄は坂道が多く、地元の人たちに聞くと道路に石灰岩を使っているため、非常に滑りやすく、雨が降ると自転車やバイクには乗らない人が多いそうだ。
道路事情の要因はほかにもある。それは自動車が普及しすぎていることだ。沖縄は自転車の代わりに普及している乗り物がある。軽自動車だ。こんなランキングがある。
1位:沖縄県(55.3%)
2位:高知県(54.0%)
3位:長崎県(54.0%)
(出典:軽自動車検査協会、2014年3月末)
沖縄では維持費が安く、手軽に乗れる軽自動車が人々の足になっている。その「車社会」は、ほかの都市とは、ある点で大きく違っているという。そのルーツは太平洋戦争にある。
沖縄で先行した「モータリゼーション」
日本は戦争に負け、沖縄はアメリカに一時統治された。戦後の日本は、東京をはじめとする各都市で、まずは鉄道が敷かれ、次に車の道路がつくられるという順番で街づくりが進んだ。ところが、沖縄の街づくりは当時のアメリカが推し進めていた「モータリゼーション」の影響により、まずは車用の道路がつくられ、その後、電車が普及するという逆の順番になった。そして、沖縄は完全な車社会になった。
実は、沖縄に電車が走り始めたのは今からわずか12年前の2003年。それもレールを敷く用地がなく、街の上を通るモノレールになったという事情がある。
そんな車社会なので、沖縄の人は、自転車に乗ることはおろか歩くことさえ、面倒に感じているという説もある。その証拠に、沖縄のテレビ局が作ったCMのテーマは歩行推進だ。そして、こんなデータもある。
1位:沖縄県(45.2%)
2位:宮崎県(44.7%)
3位:栃木県(40.5%)
(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」2006〜2010年)
取材班はひとつの仮説を立てた。それは
「沖縄の人はそもそも自転車に乗れないのでは?」
実際に現地の人を対象に調査してみた。「30年以上乗ってはいないが絶対に乗れる!」と言い張ったご婦人。その結果は……残念なことに。今度は15年ぶりの挑戦というオジサン、その結果は……またまた残念。驚くほど多くの人が自転車に乗れないことが判明した。
暑さ、潮風、車社会――。3つの要因が複合的に重なって、「自転車に乗れない大人」が珍しくない街が生まれた。日本でも有数のリゾート地、沖縄の知られざる姿である。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら