カプコン、「ヒット作の不在」に打つ手はあるか 辻本春弘社長に今後の戦略を聞く

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ゲーム業界はカジュアルユーザーだけでいいのか。ここで普及しても、コアユーザーがいなくなれば、”向上心”が生まれなくなる。重要なのは、コアユーザーがいるからこそ、カジュアルユーザーやエントリーユーザーがそこに近づいていくということ。両方が必要なんです。スマホゲームもコアユーザーは10~15%程度。そこからどう広げていくかが僕たちの中期、長期の戦略になる。

2014年の「モンスターハンター4G」に続き、今年冬には、3DS向けにモンハンシリーズの新作発売を予定。

――ただ、最近のカプコンのソフトはシリーズものが多く、新作のゲームが出て来ていない。

幸いなことに、支持されているフランチャイズタイトルが多い。それらを作るために内部の開発ラインは、かなりいっぱいな状況だ。以前は外部の開発ラインを利用していたが、現在は内製化に切り替えている。

最近はダウンロードコンテンツもやっており、ロングテールのビジネスモデルになった一方で、それぞれのプラットフォームにも対応する必要がある。今は新作よりもマルチプラットフォーム戦略で新たなステージへ持っていきたい。リソースは技術的なチャレンジに回している。

今、何をすべきか?

――レベルファイブの「妖怪ウォッチ」や任天堂の「スプラトゥーン」など、新規のゲームには破壊力がある。カプコンで、そうしたものを生み出すチャレンジには、まだ時間がかかる。

マンパワーの状況を考えるとそうなってしまう。今やらないといけないことは、ゲーム業界で起きている変革に対応すること。社内で構造改革を進めている最中だ。

数年前からデジタル革命が起こり、流通は店頭販売からデジタルダウンロードへ移行している。いくら新しい作品を出しても、それをいい形で提供できなければユーザーに支持されない。もし支持されたとしても、以前のように大勢に受け入れられるものにならない。 

――構造改革が終わるメドは。

始まったばかりだからわからない。皆さんが驚いたのは、去年、一昨年と、カプコンの画期的に営業利益率が改善したこと。ゲーム業界の魅力は高収益体質と言われてきたが、過去を振り返ると営業利益率の平均が20%だったのが10%になり、現在はさらにそれを下回っている。ハードの進化でソフトの開発費が上がったにもかかわらず、市場が拡大していない。

ここ数年、カプコンも想像以上にダウンロード比率が増えたことで、営業利益率が改善した。最終的にはどこまで進むか見えにくい状況だが、現状の15%から中期的に20%へ引き上げようとしている。あと3年で5%上げていくために、やるべきことは多い。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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