カプコン、「ヒット作の不在」に打つ手はあるか 辻本春弘社長に今後の戦略を聞く
――スマホゲームで収益を上げるよりも、マーケティングツールという位置づけになる?
スマホゲームやソーシャルゲームの課金者比率は、全体の10~15%と言われる。大半のユーザーが無料で遊ぶ中で、本格的に遊びたい人にどうやって課金してもらえるのか。
仮に85~90%の人がスマホゲームを無料で遊んでいても、「ゲームをやるならゲーム専用機の方がいい」と思う人が出てくるかもしれない。
そう考えると、われわれのマルチプラットフォームの強さが生かせると思う。スマホゲームだけで稼ぐわけではなく、ゲーム専用機がいいとなれば、「モンハン」や「戦国BASARA」「逆転裁判」などに触れてもらえる可能性も出てくる。ゲーム専用機向けのソフトは価格設定が柔軟になってきており、廉価版や過去の作品を安くすれば、買う動きも出ている。
競争は激化するほうが望ましい
――ゲーム業界の動向をどう見ているのか。
昨年、任天堂さんに伺った際、デジタル配信やフリーミアムモデル(無料で提供してから課金するモデル)もやるようだったので、「スマホベースのゲーム専業会社と提携も考えたらどうですか」と話したことがある。
一方、スマホゲーム会社の経営者には、「ゲーム専用機へ進出してこないのはもったいない」といつも言っている。当社のような家庭用ゲームソフトを開発する会社がスマホゲームに参入している中、スマホゲーム会社が「ゲーム専用機の開発はできません」とするのはどうかと思う。
――しかし、ゲーム専用機の市場は参入のハードルが高いのでは?
みんながスマホゲーム側へ行くと”混んでくる”。一方、ゲーム専用機向けの開発をすれば、技術的にも色々な経験ができる。スマホゲームやソーシャルゲームの方々に来てもらえれば市場も活性化するし、競争がもっと激化するほうが望ましい。
――ゲーム専用機はコアユーザー向けになっており、市場の成長は厳しいように見える。
自動車に例えると、エントリーユーザーには安い車が必要だが、そこから徐々に興味を持ってもらい、市場を作っていくという企業の使命がある。
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