意外と知らない「水の色は透明?青?」への答え 世の中の土台を構成する「化学」という教養
最近、身近に過熱水蒸気を使った調理器具が現れました。
2004年、ウォーターオーブン、つまり「水で焼く」という調理器を、シャープが発売しました。これは300℃を超える過熱水蒸気を使う調理器です。300℃はてんぷらをあげる油の温度、約180℃をかなり超えています。
もともと業務用では過熱水蒸気を使う調理器が存在していましたが、家庭用として小型化して販売されたのです。
食品に水蒸気を当てれば結露してぬれますが、過熱水蒸気では食品がぬれた状態になるどころかパリッとカリッと焼けます。ウォーターオーブンの高熱で、食品内部の脂が融け出し、ポタポタと落ちます。
また、調理器内の空気を追い出しますから、初め空気中に21%あった酸素がぐんと減ります。低酸素状態では食品の成分が酸化しにくいので、ビタミンなど酸化に弱い成分を守ることもできます。
最初に販売されたウォーターオーブンは過熱水蒸気のみを利用していましたが、その後は、過熱水蒸気に加えて、マイクロ波の併用、ヒーターの併用、マイクロ波とヒーターの併用など、いろいろな加熱方式を組み合わせています。
氷はなぜ水に浮かぶのか?
水は、自然界にあるいろいろな物質の中で、他とは異なる性質を持っています。最大の特徴は、固体の氷のほうが液体の水よりも、同じ体積で軽いということです。
同体積で比べると、ほとんどの物質は液体のときよりも固体のときのほうが重いのです。例えば、ロウソクのロウ(パラフィンという物質)を加熱して液体にしたものにロウのかたまり(固体)を入れると、ロウのかたまり(固体)は沈みます。
また、常温で唯一液体の金属である水銀を、ドライアイスで冷やして固体水銀にしてから液体の水銀中に入れる、あるいは液体のエタノールを液体窒素で冷やして固体エタノールにして液体エタノールに入れる。するとどちらも、固体がその液体中に沈みます。
これは固体のほうが液体より原子・分子どうしの結びつきが強く、原子・分子間の隙間が小さくなるので、原子・分子がぎっしり詰まり、密度が大きくなるからです。
ところが水は違います。水は液体のときよりも固体のときのほうが軽いのです。
さらに液体の場合、ほとんどの物質は、温度が上がると膨張して軽くなりますが、水は違います。水は、4℃のときに最も重くなるのです。
もしも氷が0℃の水よりも重かったら、まず水面で冷やされてできた氷は、できた途端に底へ沈んでいきます。湖にしろ、川や海でも底が氷でいっぱいになります。
しかし実際はそうではなく、氷は水面上に留まり続けます。だから水の中の生物は、0℃より気温が低くなっても、氷のカバーに保護されて暮らしていけるのです。
なぜ水は固体のほうが液体よりも、同じ体積で軽いのでしょうか?
これは水分子の結びつき方が原因です。水分子は酸素原子1個に水素原子2個が結びついています。水素原子2個はある角度(104.5度)をなす折れ線形をしています。
水分子は分子内に電気的な偏りが大きい分子です。すると、ある水分子の水素原子と近くの(別の)水分子の酸素原子が、分子どうしで+電気と-電気の引き合いをします。
この結びつきを「水素結合」といいます。水素結合は普通の分子どうしの引き合いより強いです。
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