中国の中堅自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)は、スマートEV(電気自動車)の新ブランド「問界(AITO)」を共同で立ち上げるなど、現時点でファーウェイとの関係が最も深いとされる企業だ。
同社は新会社の設立発表と同じ日に声明を出し、ファーウェイから出資を打診されていることを明かしたうえで、「前向きに検討している」と述べた。国有自動車大手の北京汽車集団の関係者は、財新記者の取材に対して「わが社も出資を検討する可能性が高い」と語った。
ファーウェイによる新会社設立の裏には、同社の自動運転技術を採用する自動車メーカーのブランドを超えた連帯を促すと同時に、外部資本の導入で開発負担を軽減する狙いもあると見られている。
自動運転技術は“金食い虫”
「中国の自動車業界では、自動運転技術の開発が想定を上回る“金食い虫”であるとの認識が広がっている。ファーウェイが(新会社設立による)スマートカーBUの分離を決めたのも、先行投資の大きさに対してリターンが低すぎることが一因だ」。財新記者の取材に応じたある自動運転技術の専門家は、そう分析する。
2019年に発足したスマートカーBUは、ファーウェイの主要事業のなかで唯一の赤字部門だ。年間10億ドル(約1489億円)を超える開発費を投入しているが、2023年上半期(1~6月期)の決算報告書によれば、スマートカーBUの売上高は(半年間で)わずか10億元(約209億円)だった。
ファーウェイの自動運転技術そのものは、自動車業界内で高く評価されている。今回の新会社設立と外部資本の受け入れ、そして、それに対して自動車メーカー各社がどのような決断を下すかは、中国における自動運転技術の開発競争の行方に大きな影響を与えそうだ。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月28日
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