東急・堀江社長、田園都市線Qシート「いつかは」 新横浜線から渋谷戦略まで直撃インタビュー

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――渋谷では東急百貨店の本店を閉店しましたが、グループ全体におけるリテール事業の役割とは?

沿線の競争力を強化していくためには鉄道、バス、住宅などが有機的に配合されることが大事だが、沿線にお住まいの人は買い物をする必要がある。そうなるとわれわれとしてはそこにも一定のポジションを提供したい。もちろん全部を当社がやる必要はなく、有力な事業者さんがいらっしゃれば当社は場所を提供する。逆に誰かがやらなくてはいけないが、やる人がいないのであれば当社がやる。そうやって生活しやすい沿線、住みたい沿線にしていくことによって、人口減少時代にあっても沿線人口が維持されるし、場合によっては伸びていく。

――ホテル戦略については?

たとえば渋谷ではホテルが不足しているので、地権者さんがホテルをやりたいとおっしゃることもあれば、当社が開発する施設にホテルを入れることもある。当社の開発事業で出てくるホテルについては、当社が保有することになるが、地権者さんがいらっしゃる場合はマネジメントコントラクト(MC)方式で受託していくことになる。地権者さんにもいろいろなタイプがあって、東急のブランドがいいと人もいれば、東急の名前を付けずに当社に運営してほしいという人もいる。

そこで、外部受託の幅が広がるようにブランドのラインナップを広げる。たとえば、渋谷の「渋谷ストリームエクセルホテル東急」は来年1月から「東急」を外して「渋谷ストリームホテル」にする。来年1月に札幌すすきのに開業するホテルは「札幌ストリームホテル」という名前だ。渋谷は当社の保有で、札幌は賃借だが、今後はMCで受託する場合の選択肢に「ストリーム」ブランドを入れていく。加えて、宮古島、白馬、伊豆といった場所はリゾートホテルブランドとして再編成し、より上質な滞在価値を提供していく。

歌舞伎町や新横浜線を軌道に乗せたい

――最後に2024年の経営方針について一言。

今やっている開発事業についてはしっかりやっていく。一方で今年スタートした歌舞伎町タワーや新横浜線はまだ立ち上がりの段階なので、できるだけ早く軌道に乗せたい。渋谷では東急不動産がやっている「サクラステージ」という複合施設が順次開業していく。これによってJR線をまたいで渋谷ストリームに抜ける通路ができる。

渋谷ストリーム
飲食店を中心としたテナントが入居する渋谷ストリーム(編集部撮影)

そうなると人の流れが変わり、渋谷ストリームは今の店舗構成でいいのかという話にもなる。渋谷ストリームのテナントは基本的には飲食店が中心だが、人の流れが変われば物販を入れてもよいのではないかといったことも考えなくてはいけない。こういった既存事業のブラッシュアップも並行してやっていく。既存事業の規模が大きくなってきたのでポテンシャルは結構ある。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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