東急・堀江社長、田園都市線Qシート「いつかは」 新横浜線から渋谷戦略まで直撃インタビュー
――有料座席指定サービス「Qシート」が大井町線に続き東横線でもスタートしました。田園都市線に導入する計画は?
お客様に選択肢をご提供するという意味ではいずれかのタイミングでやりたい。ただ、需要の動向を見ながらということになる。足元の混雑状況を見ると、通勤時間帯に設定するというのは、今は難しい。
――もう少し混雑が緩和してから?
そう。東横線の場合は8両編成にQシート車両を2両追加している。そのため、Qシートを利用されないほかの車両のお客様にご迷惑はおかけしていない。一方、田園都市線はすでに10両編成であり、これを12両にすることは難しい。10両のまま2両のQシート車両を導入すると、普通の車両は8両になってしまう。ただ、いつかはやりたい。
渋谷はにぎわいが戻ってきた
――コロナ禍の前は、田園都市線の渋谷駅はホームを増設して列車の遅延と混雑解消を図るという検討をしていました。現在の状況は?
議論をやめているわけではないが、コロナ禍前に比べて輸送人員が減っている。また、混雑する時間が分散されていることもあり、喫緊の課題として取り組まなくてはいけないということにはなっていない。実際に工事をする場合は、営業しながらやるため非常にコストがかかる。そのため、便益とのバランスを考えないといけない。
――渋谷の街自体はコロナ前のようなにぎわいが戻ってきました。
かなり早い時期から欧米のお客様を中心に相当戻ってきたという感触はあった、たとえばスクランブル交差点を真下に見下ろせる展望施設「渋谷スカイ」のお客様は9割以上がインバウンド。もはや観光名所だ。
――一方で、ハロウィンのときは「渋谷に来ないで」という異例の呼びかけも。
渋谷には多くのお客様にお越しいただきたい。渋谷でリテールをやられている事業者さんはみなさんそう考えていらっしゃると思う。しかし、ハロウィンのときには騒ぐことを目的として渋谷にお越しになるお客様も中にはいらっしゃる。韓国の例(2022年10月29日のソウル梨泰院雑踏事故)もある。万が一渋谷で無策のまま何か起きたら批判どころでは済まされない。安全性が最重要。今回の渋谷区長の判断は正しいと思う。
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