熊本菊陽町、経済効果6.8兆円で激変の飛躍と懸念 地価高騰も、人口急増でインフラがパンク
水資源への影響も大きな懸念材料だ。半導体工場では部品の洗浄に大量の水が必要となる。熊本にTSMCが進出した理由の一つは豊富で清冽な地下水の存在だといわれている。
JASMの1日当たりの採取量は8500立方メートル。JASMは採取量を超える地下水の涵養(水を地下に戻す)を行う方針だと伝えられている。7月に県がJASMのモニタリング井戸で行った揚水試験(24時間)では、試験前後で水位の低下は確認されなかったという。
熊本県は、新たな取水の指針を変更し、半導体関連企業が集積する菊陽町などが含まれる「重点地域」における地下水採取の許可を新たに得るには、地下水涵養計画を作成し、地下水採取量に見合う量(原則10割)を目標に、地下水涵養に取り組むこととした。
地下水採取が増えていくと…
また、中長期的な観点からは、県がシミュレーションモデルを用いてJASMの当初の計画水量(日量1万2000立方メートル)の採取による影響を予測した結果、中長期的な地下水位の低下は最大30センチ程度で、影響は局所的に限られることが確認された。菊陽町の地下水位の年間変動は5~10メートル程度あることを踏まえると、大きな影響はないと考えられる、としている。
今後、JASMの第1工場だけでなくさまざまな工場や施設で地下水採取が恒常的に行われ、採取量が増えていったとき、同エリア一帯での水資源の減少、枯渇といった事態は本当に起きないのだろうか。
「熊本県内では年間に1億6176万立方メートルの地下水が採取されています。多い年には2億立方メートルということもありました。今後、新たな採取が増えていったとしても、降雨や涵養などで地下水は保全され、ただちに枯渇するといった事態にはならないと考えています」(環境立県推進課)
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