熊本菊陽町、経済効果6.8兆円で激変の飛躍と懸念 地価高騰も、人口急増でインフラがパンク
バブル現象は技術者らの採用現場でも顕著だ。半導体関連エンジニアは全国的に不足している状況で、激しい争奪戦が繰り広げられている。求人情報サイトに掲載されているTSMCの子会社JASMの技術系の新卒者(大卒)の初任給は28万円で、全国平均より5万円以上も高い。熊本県内の製造業と比べると7万円も高い水準だ。中途採用社員の募集を見ると、年収は600万円から1200万円と厚遇だ。
ちなみにJASMの2023年春の採用実績(新卒)は大卒以上99人、高専卒13人となっている。大学院卒の出身校は東大、京大、東工大、阪大など名門国立大がずらり。九州地区では九大、九工大、熊大、長崎大、崇城大(熊本県)などとなっている。
周辺エリアにも影響が及ぶ
TSMC特需に沸く菊陽町と周辺自治体には、さまざまな業種の企業、施設の大型投資や進出が続いている。半導体関連では、菊陽町に工場があるソニーグループが隣の合志市に約27万平方メートルの用地を取得。画像センターの新工場を建設する。
同じく合志市に拠点がある東京エレクトロン九州は事業所内に開発棟を新設。最先端半導体生産に欠かせないEUV露光装置のトップメーカーASMLジャパンは、技術支援拠点を益城町から菊陽町に移転・拡張した。
TSMC工場から6キロ離れた益城町で工場団地開発を表明したのは大和ハウス工業。2024年に着工し、2027年完成を目指す。総事業費は約110億円。約8ヘクタールの土地のうち7.4ヘクタールを6区画に分け8月1日から販売を開始した。菊陽町とその周辺エリアに半導体関連企業の集積がどんどん進んでいる。
半導体関連企業の進出で住宅需要が大幅に増え、マンションやアパートの建築ラッシュが続き、そのエリアは熊本市内にまで拡大している。さらに11月には生活必需品の需要を見越して、ニトリがTSMC工場から1.5キロの大津町内に熊本大津店をオープンした。
大津町では8月に地元資本のビジネスホテル(7階建て/21室)が8月に開業。東京の不動産コンサルティング会社は菊陽町と大津町に2つのビジネスホテルを建設中で、来年夏以降に開業予定だ。このほかにも大手ビジネスホテルチェーンも2025年開業を目指して大津町に建設を予定している。
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